『§まっすぐに生きるのが一番』
「第93話:人生愛して、愛されて、」

 

 

哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。

 

 

前回、哲也は日常で見たできごとで、自分に都合のいい独りよがりな人が増えてきているのではないかと、優花ともに危惧したのだった。

 

 

今回は、優花がおばあちゃんと話したことを、哲也と話をしていた。

 

 

 

「哲也、この間ね、時間があったからおばあちゃんと、愛について話してたの」

 

 

「ほ~すごいテーマだね」
と哲也は返事をしながら、最近優花への愛が減ってきたことを、おばあちゃんに相談したのだろうかと、哲也は少し心配になっていた。

 

 

「長く一緒に生きていく中で、愛ってどうやって育てていけばいいか、それって永遠のテーマみたいだけど、おばあちゃんならどんなふうに考えてるのかなって」

 

 

「そう言うことね」

 

 

「そう言うことって、どう言うこと?」

 

 

「えっ、どおって?」
と言いながら、哲也は自分の勘違いの恥ずかしさもあって、どう優花に説明したらいいのかわからず、『どおって?』と会話になっていない返事をしてしまった。

 

 

「哲也がなにか意図していたことと違ったって返事したから、聞いたんじゃない」

 

 

「そうだね…」
哲也は優花の言葉に『そのと~り』と思いながら、ここでうやむやにすると、コミュニケーションのボタンの掛け違いがはじまるから、自分の思ったままを話した。

 

 

「いきなり愛を語ったって聞いたから、優花がなにか俺のことでおばあちゃんに相談したのかな、とちょっと気になってさ…」

 

 

「アハハハ、そんなこと心配してたの。哲也からいっぱい愛をもらってるから大丈夫よ。今のところはね」

 

 

「えっ、今のところって」

 

 

「愛ってなかなか難しいテーマじゃない。愛し合って一緒になっても、愛が冷めていくって世の中たくさん聞くじゃない。なんでかって気にならない?」

 

 

「そう言われるとそうだね」

 

 

「それでおばあちゃんに聞いてみたわけ」

 

 

「そっか、なるほどね。それでおばあちゃんなんて」

 

 

「それをこれから話すところ。結論から言うとね、愛の概念が必要ってことかな。概念と言うより、人としての哲学みたいなものが大切ってことかな。

 

 

おばあちゃんよく私たちに、ものの考え方みたいなものを教えてくれるじゃない。

 

 

日頃どう私たちがなにを考えて、過ごしているかが大事ってこと」

 

 

「具体的に言うと?」

 

 

「おばちゃんも人から聞いて、その通りだと思ったらしいんだけど、その考え方を今も大切にして生きてるんだって。

 

 

それがね、究極的に言葉は『愛』と『恐れ』からなっていて、『愛』から派生した言葉が、感謝や幸せ、笑顔、嬉しい、楽しい、つながってる、豊かなど、

 

 

『おばあちゃんにそれってポジティブな言葉ってこと?』って聞いたら、そうかもねって言ってた。

 

 

『愛』の逆の『恐れ』が派生した言葉は、不安、心配、寂しい、怒り、孤独だったかな」

 

 

「なるほど、で、『愛』って形のないものだから、なかなかわからないって言うけど、どうすれば『愛』を感じられるわけ」

 

 

「私もおばあちゃんにそこのこところを聞いてみたの。

 

 

例えばね、小さな子供がお母さんを頼りにするとき、お母さんは子供に頼られて嬉しくなる気持ち、それが『愛』と同義語だって。

 

 

他に、おじいちゃんおばあちゃんが、孫の顔を見て嬉しくなる気持ちも『愛』だって。

 

 

他には、年老いて亡くなったお父さんが昔書いた日記が出てきて、そこに家族や子供への思いが綴ってあったものを見た時に、『愛されていたんだな』と『愛』を感じることも。

 

 

そう、おばあちゃんはね、朝太陽の光を浴びていると、『幸せ~』って思うんだって。そして、『愛されてる~』って思うんだって!」

 

 

「え~太陽をみてそんなふうに思えるの?すげー!」

 

 

「私も『なんでそんな気持ちが湧いて来るの?』って聞いたら、『すべてに感謝だから。こうして生かされていることに感謝だから、有り難いって思うと自然に出てくる』んだって」

 

 

「そっか、よくおばあちゃんから『感謝』や『有り難さ』を聞くもんね。

 

 

さっきの話のお母さんやおじいちゃんおばあちゃんの中に、この子の『御蔭で』って感謝の気持ちがあるから、日記を見た子供が今の自分があるのはお父さんの『御蔭で』って思えるから、『愛』を感じられるんだね」

 

 

「そうおばあちゃんも『お蔭様で』って大事だと言ってた。

 

 

つまり私はこう思うの。

 

 

哲也が言うように『愛』は形がないからわかりずらいけど、日々の中で感謝する心を忘れずにいることが大切なんだって。

 

 

その気持ちが、感謝や幸せ、笑顔、嬉しい、楽しい、つながってる、豊かなどの言葉になり、そのことに『有り難い』って感謝できる気持ちが、私たちの心を何もいらないと思えるぐらい無条件に満たしてくれる。

 

 

それを人は『無条件の愛』と呼ぶのかもしれない」

 

 

「おばあちゃんは、太陽の光を浴びてそう思えるから、『幸せ~』『愛されてる~』って思えるのかもしれないね」

 

 

哲也は、人生愛して、愛されてということをもっと学べるよう、感謝の気持ちを大事にすることを誓ったのだった。

 

 

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 

 

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