「人生の主人公は自分自身だと自覚する時代」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第97話:人生の主人公は自分自身だと自覚する時代」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
前回、哲也が昔にアルバイトをしていた時に、ホームレスのおばあちゃんとの挨拶が、奇跡のような振る舞いに変わったという話。
哲也は、改めて気持ちのこもった挨拶をすることは、コミュニケーションの基本の基本と肝に銘じたのだった。
哲也は、こんな話を聞いたことを思い出していた。
『人生の主人公は自分自身』だと。
『それなのに、主人公でない人が多い…』と。
それと同時にこんな話も思い出した。
戦後復興で経済を発展させ、人々の暮らしを安定させるためには、画一的な教育が最も効果的だったと。
それは、幼小中高と一貫して先生と呼ばれる教師から“他律的”に教わることでもあったと。
そんな教育を受けて来た人々にとって、“自律性”を育む教育は受けていない。
ご飯を食べること、生きることが目的だった時代には、社会に出ることはいくらかそんな“自律性”を育む環境があったのかもしれないと。
哲也は恋人である優花に、そんな話を投げかけたのだった。
「哲也はいつも難しいこと考えてるね、と言いたいところだけど、私もおばあちゃんと関わるようになって、考え方が変わってきた。
世の中が物質的に豊かになればなるほど、心の豊かさがほしくなると、おばあちゃんが言っていた意味が最近よくわかるようになってきた。
上手く言えないかもしれないけど、今までの物が豊かにしてくれる生き方だと、その物が手に入れば心が満たされたと思う。
でも、心の豊かさは人それぞれの価値観がある分だけ多様化すると思うの。
言い換えれば、自分の心にしっくりする生き方そのものだと思うの。
よくわからないけれども、私たちの子供の頃に感じていた価値観と、今の世の中の価値観は大きく変わってきていて、
特に若者の価値観は、いい悪いは別にして人に迷惑をかけない範囲で、自分主体で好きなことを好きなように生きようとしている気がするのよね。
逆に社会で揉まれた大人たちは、人からの評価を気にしたり、人や社会、会社にこうしてほしいと依存した生き方をしているのかもしれないってね」
「おばあちゃんも言ってたけど、依存した生き方って、それって自分の軸を相手に渡して生きているような生き方なんだよね。
だから、自分が思うようにできないもどかしさが、人間関係の中で不平不満が出て来るんだよね。
でも、今の生きている社会構造や組織、集団の中では、そうは言ってもね・・・」
「“でも”って言う口癖、おばあちゃんそれが自分を前に進めなくさせている原因をつくっている思考って言ってたわよ。
“でも”って思っているだけ、人はそこから動けないし、変わることができないって」
「わかってるけどさ。どうすればいいわけ?」
「おばあちゃんが言ってたけど、まずは自分が起こす行動に責任を持つことじゃないかしら。
私たちって行動を起こすときって、けっこう何気に動いていると思うのね。
その何気に動いている行動に責任を持って、自分が決めて選択して行動してるっていう自覚が大事なんだと思う。
だって、自分で決めて選択して動くと、それは自分が決めたことだから、上手く行かなくなったときも、それって自分の責任じゃない。
それをうやむやにするから、相手のせいにしたりして不平不満につながったりすると思うのよね。
相手に期待することも、それって結局は相手が自分の思うようにしてくれると、相手に主導権を渡しているようなもんだと思うのよね。
それで相手が自分の思うようにしてくれないと、腹を立てたり、文句を言いたくなるんだと思うよ。
おばあちゃんにこんな話をしてると、きっとこう言わると思うの。
『あなたは自分の人生を生きずに、誰の人生を生きてるの?』って。
『自分の人生を生きる』って、自分に正直に生きるってことじゃないかな。
自分と向き合って、もっと自分のために生きることであって、自分を大事にする生き方をすることが、自分に肥やしを与えて成長することにつながると思うし。
その成長の度合だけ、人のために何かをしてあげたと思えることにもなるような気がする。
昔読んだドラえもんのマンガの中で、のび太くんがドラえもんに言った言葉があるの。
『ドラえもん、いちばんいけないのは、自分なんかだめだと思いこむことだよ』って、私も哲也もそう思ってたとこあったじゃない。
おばあちゃんの話って、今思うと私たちが自分自身と向き合うような話をしてくれていたと思うの。けっこうグサッと刺さる話が多かったもん。
そうやって私たちって自分自身と向き合いながら、自分のことを大事にするようになって、自分のことがわかってくると相手のことを思う気持ちも増えていって。
自分のことがわかると、自分が正直に生きていないことがよくわかってくるしね」
「結局どうすれば自分が主人公の生き方ができるんだっけ」
「まずは、のび太がドラえもんに言っていたように、自分がだめだと思う気持ちが、そんな自分をつくるってことを知ること。
そして、不平不満がでたときに、それは自分自身を生きていないってことに気づくこと。相手に依存したり期待しているってことを理解すること。
自分の思いや考えに責任をもっていないから、そうなるってことを知ること。
だって、私気づいたの。自分に責任もって行動すれば、上手くいかなかったときに、どうすれば上手くいくか、そこでさらに考えてるもん。
哲也もそうしていない?」
哲也は優花の話を聞いて、そのとおりだと思った。
日本人って自分よりも相手のことを先に思う文化があるから、もっと外国人のように“自分が”というような生き方をして丁度いいのかもと、思ったのだった。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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