6月20日 『奇跡の婚活物語』
「ほろにがい失恋 後半」
私はバイクで走りながら、親友に上手いこと丸め込まれてその気にさせられたと思いつつも、もう後に引くこともできないと思い、彼女の家へとバイクを走らせた。
彼女の家は、アルバイトで彼女と一緒になったときに聞いていて、だいたいのことは分かっていたのですぐに行くことができた。
さすがにマンションの部屋番号まではわからなかったが、有難いことにマンションの入口すぐそばに公衆電話ボックスがあった。
私はその横にバイクを止め、フルフェイスのヘルメット脱いでバイクのシートの前のガソリンタンクの上に乗せた。そして、高ぶる気持ちを抑えながら公衆電話へと入っていった。
私は、手帳に書いてある彼女の電話番号を見つけると急にドキドキして、少し震えるような指先でプッシュホンの番号を押した。
こんなときの電話のコール音は、さらに私をドキドキさせた。そして、本人が直接出てくることを祈りながら、電話がつながった。
電話に出て来たのは、お母さんだった。初対面だったが、アルバイト先で一緒に働いていることを告げると、すぐに本人と代わってくれた。
私はぎこちなく彼女と会話をしながら、『とにかく手渡したいものがあるから、今マンションの下にいるので来てほしい。渡したらすぐ帰るから。』と、なかば強引に説得してなんとか出て来てもらうことに成功した。
出てきた普段着の彼女もかわいかった。そんな姿にドキドキしながら、カバンから渡すものを取り出した。
私はそのとき持っていたものとは、大学の学園祭で英語劇をするためのシナリオを、ちょうど私が日本語に翻訳したものを持っていて、その日本語訳を彼女に読んでもらい、意味が通じるかどうかチェエクしてもらうというものだった。
今考えると、彼女でなくても本当にどうでもいいようなことだった。ただ、彼女も英文科だったという理由もこじつけて、私は話を押し切った。
彼女は、私から半ば強引に押し付けられたシナリオを手にしながらも、読んで感想を伝えると言ってくれた。
その渡すものの趣旨を説明し終わると、いよいよ告白の時が迫って来た。
私は、今にも心臓が飛び出しそうなぐらいドキドキしながら、彼女に礼を言ったあとバイクに跨った。
手にグラブをはめ、フルフェイスのヘルメットをかぶり、ヘルメットの正面の透明のシールドと呼ばれているところを上にあげて目だけ出し、そして、私はバイクのセルを押し、エンジンを掛けた。
いよいよあのシナリオの通り、『好きだ』と告白してそのまま帰るところにやってきた!!
私は、ドキドキしながらもこの気持ちを彼女に気づかれないように、見送くろうとする彼女をフルフェイス越しに見て、そして私は意を決して彼女に言った。
「○○。俺はおまえが好きや!!」すると彼女は、
「私にはもったいないですよ。」と、あらかじめ予期していたかのようにすぐに言葉を返された。
しかも、そのとき彼女が言うはずだった「えっ」を、私が「えっ」と思わず口からついてしまった。そのまま帰るはずが、予想外のこの展開に私はその場で固まってしまった。
彼女は私が固まるのを見て、さらにもう一度念を押すかのように、「私にはもったいないですから…。」と言うと、私はその言葉に「あっ、うん」と、思わず素直に頷いてしまったのだった。
私は、彼女の「気をつけて帰ってくださいね。」という言葉に見送られながら、私は頭が真っ白になり、どこをどうバイクで走ったかわからないまま、私は親友が待つアパートへと戻った。
私は、親友の部屋に駆け込むと、一部始終今彼女とあった出来事を話した。すると親友は、大爆笑して腹を抱えて大笑いした。私はその親友の笑い声を聞いて、怒りよりも緊張がようやくほぐれたかのようにほっとした。
親友は、「笑ってごめん、ごめん。前中ほんまにすごいわ。正直話をしたけど、ほんまに彼女の家まで行って告白しにいくとは思わなかったわ。ほんまにすごいわ。」と言いながら、
「でも、前中はいいことしたで!彼女ここまでされたら、絶対一生の思い出に残るで。そんなドラマのような告白されることなんか、めったにないんやから。」と。
今、私はそんな学生時代にあったほろにがい失恋の「えっ」を思い出していた。
そして、今までの積み重ねてきた彼女への振り子が、急に反対側に振りだしたかのように、急に不安とこのままいい人で終わってしまったのではないかという、見えない心の不安に苛まれたのだった。
次回6月23日(日)「すべては身を任すしか」につづく
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