‐エピローグ‐

 

彼女は、妻に入れてもらったお茶を飲みながら、楽しそうによくしゃべった。妻も彼女を妹のように、前から知っている友達のように楽しそうに話していた。

 

和尚は、そんな彼女と妻の会話を微笑ましく聞いていた。

 

そして、会話が一段落した時に和尚が言った。

 
「さてさて、あなたの最初の質問に答えてなかったね。」

 

「えっ、なんですか?私なにか質問しましたっけ?」

 

「忘れたんならもういいってことかな。」

 

「えっ、そう言われると気になります。」

 

「もう必要ないかもしれないね。」

 

「いえ、聞きたいです。教えてください。」と言って、彼女は和尚にお願いしたのだった。

 

「そこまで言うなら、教えて進ぜ上げよう。」と、和尚は茶化しながら言った。

 

 

「あなたが初めに言った、『私、生きている意味がわからない。』という答えだよ。

 

一番大きな意味は、何だかわかるかな?それは、『幸せになること。なぜなら、人は幸せになるために生まれてきたのだから。』だったね。

 

 

それと、あなた自身の才能は、人の心の暗闇に光を照らす才能があることだよ。あなたは、この経験で、自分が無価値で無意味な存在だと思っていたよね。

 

裏を返せば、あなたには、人の価値や意味を見つけることができるってことだよ。なぜなら、今、あなたは、自分が無価値で無意味でないことを知ったのだから。

 

 

それは、何か大きなことをする必要はない。もうすでにしていることかもしれないね。あなたの仕事で、あなたから元気をもらったり癒されたりする人も多くいると思うよ。それって、また人に生きる活力という光をあなたが与えてるってことだと思うよう。

 

 

活力を与えるそれって、その人の価値を見ているからこそ与えられることだし、その人が生きている存在に意味があるからこそ与えられることだと思うんだよね。

 

 

つまり、その人と一緒にいて楽しくなれるってことかな。それって、自然とその人の価値や意味をわかっているから一緒に楽しくなれるんだよね。

 

そのことを教えてくれたのは、この偉大なる妻なんだけどね。

 

妻は言ってくれたよ。

 
『私は何にもしてないよ。ただ話を聞いたり一緒に寄り添ってるだけだよ。』ってね。その言葉で何度も癒され救われたよ。」

 

 

「え~和尚さんが、ですか!本当に素敵な奥さんですよね!羨ましいです!私も和尚さん夫婦のように幸せになりたいです!」

 
「嬉しいこと言ってくれるね。そんなこと言ってもらったら、“生きている意味がある”っていうもんやね。」

 
「お父さん今日は上手いこと(オチが)落ちたね!(まとめれたね)」

 

「ああ、ほんまやね。ていうか、いつも上手いこと落ちてるやん。」

 

「それはどうかな~。」と笑いながら妻は立ち上がり、

 

「お後がよろしいようで♪」と言って、居間から出て行ったのだった。

 

 

それを見ていた彼女の笑顔は、さらにキラキラと輝いていたのだった。

 

 

 第二部作 おしまい

 

 

 

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