20140414やる気

 

 

 

 

子供がほんとうにほしいもの(物語)④

 

 

ゆかと再会したマサは、全身でホッとしていた。

 

 

マサは傍らにいる愛ちゃんに
「大丈夫だった。独り寂しくなかった?」
「うん、大丈夫だったよ」と言うその目は、
安心しきった優しい子供の純粋な目をしていた。

 

 

すると愛ちゃんが「ねぇ、ねぇ、この人お姉ちゃんのパパ?」と
真剣に聞く眼差しに、ゆかは一瞬どう答えたらいいか戸惑ってし
まったが、マサが愛ちゃんの言葉に続いた。

 

 

「そうだよ。お姉ちゃんのパパだよ」と言うと、
「いいな~お姉ちゃんにはパパがいて・・・」と
本当に羨ましそうに言うのだった。

 

 

「愛ちゃんにもパパがいるでしょう?」とゆかが聞くと、
「うぅん、愛にはパパはいないの」
「どうしてなの?」
「何年か前に、愛が朝目を覚ますといなくて、それからずっといなく
なっちゃったの」と寂しそうにうつむいたのだった。

 

 

ゆかは、手をつないでいた愛ちゃんの手が、強くゆかの手
を握りしめるのを感じていた。

 

 

マサはそんな言葉を聞いて、
「愛ちゃん、じゃ遊園地にいる間、愛ちゃんのパパになってあげようか」
「えっ!!いいの!」と一瞬嬉しそうな笑顔をしたがすぐに雲って
ゆかの方を覗き込んだ。

 

 

「でもいい、お姉ちゃんのパパだから。お姉ちゃん寂しくなっちゃうもん」
と言う言葉に、二人は込みあげて来るものを感じて、

 

 

「愛ちゃんいいよ。パパ貸してあげる」とゆかが微笑むと、

 

「ほんと!!やった~!やった~!」と愛ちゃんは満面の笑みで喜んだ。

 

 

 

その瞬間、愛ちゃんはマサに肩車をされて、
「わぁ~、高い高い!」とマサの肩の上で大はしゃぎをしていたのだった。

 

 

ゆかとマサは、愛ちゃんを待つ母親のもとへと連れて行ったのだが、
この後マサは抑えていた気持ちを爆発させることになるのだった。

 

 

次回「子供がほんとうにほしいもの(物語)⑤」に つづく。

 

 

いつもお読みいただきありがとうございます。
 

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