20140414やる気

 

 

 

 

子供がほんとうにほしいもの(物語)⑤

 

 

ゆかとマサは、その後三人で母親のところへ行くと、母親は血相を

変えて愛ちゃんに怒った。

 

 

それは、母親が仕事で疲れていたのに、子供が可愛そうだと思って
ワザワザ遊園地へ連れてきたのに、こんなことをになって、もう二度
とどこへも連れて行かないということだった。

 

 

マサはなにかが違うと、いてもたってもいられなくなり、気がつくと
母親に言っていた。

 

 

「お母さん。お母さんが怒る理由もよくわかります。いつも子供たちの
ために頑張って生活を支え、たまには子供が喜ぶことをと思って今日来
たのだと思います。でも、お母さん、今日お子さんがほしかったのは
何だか解りますか!

 

 

お母さん、お子さんは遊園地でも公園でもどこでもよかったんじゃない
ですか。お母さんと一緒にいれる時間を、お母さんも一緒に笑顔になっ
て楽しんでいる想い出の時間ではなかったのですか!」

 

 

マサは顔を紅潮させながら言っていた。お母さんは、その言葉にハッと
したような顔をして子供たちの方を見た。

 

 

「お母さん。子供たちは知っているんですよ。お母さんが毎日大変だっ
てことを。僕らのために一生懸命頑張ってくれているってことを!

 

 

だけど、今日お母さんは疲れた顔をしていたのではないですか。子供は
そんな顔を見たくないんです。子供が見たらどう思うと思いますか。
きっと、僕らのせいでお母さんに辛い思いをさせてしまったんだ。
また迷惑を掛けてしまったんだと」。

 

 

母親は子供たちの顔を見ると「ごめんね、ごめんね」と言って抱きしめ、
抱きしめられた子供たちは、堪えてきた寂しさを爆発させるかのように
泣き出したのだった。

 

 

次回「子供がほんとうにほしいもの(物語)⑥完」に つづく。

 

 

いつもお読みいただきありがとうございます。
 

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