20140414やる気

 

 

“こどものこころアドバイザー(心理セラピスト)”の
前中 光曉(まえなか こうぎょう)です。

 

 

あるお母さんが、 『HappyLuckyMe♪』を言うことによって、
『イライラから解放されて、自然な自分を取り戻した』 心理学的な解説
も加えた、その場限りの方法論ではなく、 日々のプロセスを重視して
物語にしたお話です。

 

 

題:『イライラから解放されて、自然な自分を取り戻す』
第六話:「自然体な私でいたいです」

 

 

さて、心理的解説から家族の物語に話を戻し、
お話をしていきたいと思います。

 

 

イライラを超えて疲労感を覚えたお母さんが、
イライラでつい言ってしまったことに対して、
夫や子供に『素直に謝ること』の発想は持ち合わせてはいなかった。

 

 

朝になると、夫はいつものように子供たちよりも早く出かけ、
お母さんはまだまだ手の掛る二人の子供を小学校に送り出す
ために、忙しくしていた。

 

 

子供たちを送り出すと、家事をてきぱきこなし、それが終わると、
スーパーのチラシの更新日とあって、目ぼしい食材を写メに撮ると
スーパー巡りに自転車で出かけたのだった。

 

 

昨日のイライラ疲労感が一晩で解消されるはずもなく、
日々の日課に追われつつ、野菜がこの夏の雨で高騰したとはいえ
『白菜Mサイズ1/2が380円とは』と、自転車のかごいっぱいに
食材を積み、重くなった自転車を眉間にシワをよせるようにこぎだした。

 

 

しばらく走っていると、『あっ、スーパームーン』ととっさに思うと、
無意識に自転車のブレーキを掛けていた。そこにいたのは、近所の
真ん丸顔の和尚さんだった。

 

 

「これはこれは、渡くんと澄みちゃんのお母さん。たくさんの買い物に、
 えらい形相でしたね」
「えっ、いや・・・」

 

自分の顔が見えないだけに、自分がそんな顔をしていることの驚きと、
指摘された恥ずかしさに困惑した。

 

 

「今度の運動会、渡くんも澄ちゃんも楽しみにしているのではないですか」

 

その言葉に反応するかのように、余計に眉間にシワをよせて、
気がつくと日頃から気さくで話しやすい和尚に、昨日のうっぷんを
話し出していた。

 

 

話が一段落すると、和尚はまだすっきりしないお母さんに向かって言った。

 

 

「お母さんは24時間休むことなく日々大変ですからね。
 もっと自然体でいればいいんじゃないですか。体が持ちませんよ」
「自然体でいたいですけど、自然体ってどうすればそんなふうに
 いられるんですか」
「周りに振り回されずに、もっと自分が中心で動いたらいいんです」
「“自己中”にですか!そんなことしたら家がめちゃくちゃになって
 しまいますよ」

 

「わがまま好き放題に“自分中心”という意味ではなくて、
『自分がどうしたか』という気持ちを強く持つことです。
 子供のために、ご主人のために、家のためにと思い過ぎていませんか。

 

 そう思ってくると“~しなければならない”と、なにか義務感のような
 気持ちになってきますよ。なにか心当たりでもあるような顔ですね」
「じゃ、どうしたらいいんですか。自然体でいられたら理想ですけど・・・
 (どうせそんな話はないんでしょうけど)」

 

和尚は、お母さんの気持ちを推し量るかのように間を置いた。

 

 

「じゃ、やってみますか。どうせやらないと思いますが」
「なにをですか?」
「もっと自然体で自分らしくなる方法です」
「あるのならやります」
「(あるのならね・・・)自分が今の状況から変わりたいと、
 本気で思わないと変わりませんよ」
「・・・」

 

和尚は、多くの人が今の状況から変わりたいと思っているけれども、
いざやろうとする場面に直面すると、しり込みをしてしまうのを
何度も見てきた。

 

そして思うのであった。

 

『チャンスと言うのは、このようなちょっとしたきっかけ。
 それをものにするか、しないかだけの差。

 

 なんだかんだ言ってらくで簡単に手に入る幸せな世の中だけに、
 “労せずして得を取る”のであればやってみようかと思う気持ちに
 なるのもわからないではないが、

 

 なにごとも“労せずしてなにも得ない”のである』と。

 

和尚は話し掛けた手前、どのようにやる気の動機づけに
結び付けるか思案したのだった。

 

 

つづく。

 

 

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 

 

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