「楽をすること」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第62話:楽をすること」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
哲也は、おばあちゃんがスーパーおばあちゃんであるルーツを聞いた。とても信じ難い話ではあったが、理屈では理解できないなにかとても大事なことを教わった気がした。
おばあちゃんは、続けて哲也に話をした。
「人は生きていると、いろんな悩みがある。それは今日よりも明日を生きるから、新しいことがまた生まれ、そこに不安や心配事も出て来るかもしれない。
だけどね、人は努力することを忘れたかのように考えようともせず、すぐに手に入る解決策を求めようとする。
そして簡単に手に入った解決策は、ほとんどがその場しのぎのものが多かったりする。
だから同じようなことが起こったら、自分で解決することができない。
人はたやすく簡単にと“楽”をしたがるけれども、そもそも“楽をする”と言う言葉には、そんな意味があったのかと思ったりする。
“楽”と言う字は、中国の“樂”から来ているのだと思うのだけれど、元は楽器。楽器から奏でられる音を聞いて、人はそこに『安らぎや喜び、楽しさ』と言った、喜んでなにかをしている様子を表したのだと思う。
だから『お楽にしてください』と言った言葉もある。
たやすく簡単にという意味はなかったように思う。
日々忙しかったり、辛かったりした時に、安らいでほっとしたいと言った意味で『楽をしたい』と言った言葉のニュアンスが、忙しさや辛さをたやすく簡単にものごとをやりたい、解放されたいと受け取られて、日本ではそんな使い方になったのかもしれない。
さらに、最近の『楽をしたい』と言う言葉には、横着をするニュアンスも感じられる。
『楽をしてなにかをしたい』と言う言葉に、楽しくものごとを成し遂げる意味を忘れた時、人は創意工夫したりする想像力も失ってしまうのかもしれない。
今の世の中は、便利で簡単にものごとを手にいられるようになった。
でも、それは物質的なことであって、心の部分は簡単にはいかないのが世の常。
それを今は、同じように感じようとする度合だけ、不安を作り、心配事をたくさんつくっているのかもしれないね。
心の楽しさは、なにかしらの努力があって得るものだと思う。
その努力も楽しくすることができれば、努力していると思わないから、それを見た人は簡単そうにしていると思ってしまうのかもしれないね。
そして、たやすく簡単に横着して“楽“ばかりしていると、人は真剣になにかに打ち込むことも忘れてしまうのかもしれないね」
哲也はいつものおばあちゃん節を聞き、日頃の自分の生活を思い返していた。
確かに、努力してなにかをすることよりも、どうしたらたやすく簡単に、しかも労力を使わず煩わしいことを回避しようかと考えることの方が多いと思った。
そして、後輩には努力するように言う自分がいて、そんな自分は挑戦することを忘れて、現状維持を守ろうと思うことばかり考えて、生きているのかもしれない。
哲也はのけぞるように天井を仰ぎ見たのだった。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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