「有ることが難しいことの大切さ」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第82話:「有ることが難しいことの大切さ」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
前回、哲也は優花のおばあちゃんとの話の中で、『人はだれもが幸せになる権利がある』という言葉を聞き、これから訪れるであろう新しい価値観の生き方と、幸せの尺度について考えさせられたのだった。
「哲也さん、知ってると思うけど、ありがとうの語源と言われている言葉、知ってらっしゃるかしら」
「ありがとうの語源ですか」
「そう、ありがとうの語源と言われている言葉。『有り難い』だそうよ。
『有り難い』とは『有ることが難しい』という、奇跡のような感服するという、深く感動し敬意を払う意味だったそうよ。
“ありがとう”と言う言葉が使われるようになったのは、江戸時代に入ってからだそうで、それまでは感謝を伝える言葉として『有り難い』という言葉だったらしいの。
私たちが身近で『有ることが難しい』思うのは、今まで不便だったことが便利になったことかしらね。
科学の進歩と人のアイデアによって、不便さが便利さに変わっていき、私が若い頃はお湯なんてものは出なかったから、冬の寒い時期にお湯が出る喜びは、まさに『有り難い』と思ったものだったわね。
便利さは、日常の中で私たちの生活の中で同化して行き、気がつけば『あたり前』になっていき、感謝もそこに敬意もなくなっていってしまうわね。
ミレニアル世代って、最近よく耳にするようになってけれども、私たちの時代になかった衣食住に不自由しなくて、便利なものが生まれた時からあたり前にあって育ったと世代って言われてるわね。
(ミレニアル:1980年以降生まれた基本衣食住に困らなくなり、インターネットが普及した環境で育った最初の世代で、情報リテラシーに優れ、自己中心的であるが、他者の多様な価値観を受け入れ、仲間とのつながりを大切にする傾向があるとされる。出典:デジタル大辞泉より)
そして私もまた、今の時代の中で便利さの恩恵を受け、気がついた時にはものごとすべてのことを、あたり前と思って生活している。
そして、不便さや不自由さを知って、あたり前にあることへの感謝を思い出す。
哲也さんはどうかしら」
「そうですね、不便さや不自由さに出会ったら、正直腹が立つ方が先で、おばあちゃんのように感謝まで思えていないかもしれません」
「そうね、腹が立つって言葉がある意味、今の時代では正しい感情かもね。
あたり前にあることが、それが人の落ち度によって起こる場合だったら、なおさらだよね。
でも、最近私は時々思うのよ。
人は本当に困った状況にならないと、あらゆるすべてのものに有るということに対して、感謝の意味を思い出せないのかもと。
私が言うことは、哲也さんには古臭いと言うかもしれないけれども、
『有ることが難しいことの大切さ』は持ち続けてほしいし、結婚して子供が生まれても、その気持ちは絶えることなく伝えて行ってほしいと思うの」
哲也はおばあちゃんの言葉を聞きながら、自分が偉人たちの言葉を読んで、今の自分に置き換えて気づきをもたらしてくれるように、いつの時代も大切な考えは変わらないのだと思った。
そして、このように伝承していかなければならない大切なことは、どんどん教育の中でも教え体験する機会が減り、進級、進学、就職する結果に焦点を置き、そのためのハウツウが蔓延っている目先の短絡的な喜びに、人は一喜一憂し、人々の歯車もそんな生活サイクルで回っているのではないだろうかと思ったのだった。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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