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◇心の底から自分らしく生きるメソッド◇

『光曉和尚の愛と心のセラピー物語 婚活編』

~私、もっとストイックになりたいんです~

 

◇今日3日(火)、4日(水)、5日(木)三日連続で更新します!

 

§ストイックになりたいわけ

 

前回「私、もっとストイックになりたいんです!」と、真剣な目で訴えかけるように一人の女性が、和尚のいるお寺にやって来たのだった。

(※ストイックとは、自分に厳しく動じないという意味)

 

 

和尚に対面しているこの女性は、前回の話で、後輩の優衣と一週間前に一緒にお寺に来た東山瑞枝だった。和尚は、彼女が思い悩みすぎたのか、その血の気を引いた表情が、この暑い夏の日に寒気を覚えるほどのものを感じさせた。和尚には、瑞枝がすっかり精気を失いエネルギーが落ちているのを感じた。

 

和尚は、瑞枝を母屋に招き入れながら、自分がわくわくするようなことを思い出して自分の気を高めて、彼女の話を聞くことからはじめた。和尚は自分の気を高めさせるぐらい、瑞枝の発するネガティブなエネルギーは大きかった。

 

瑞枝は話し始めた。

「実は私、半同棲をして結婚も考えていた彼氏にふられたんです。この前、後輩の優衣に『心に問題があるんじゃない』って言ってしまったのも、彼と上手くいってなくて、それでついあんなふうに言ってしまって」

「あれから優衣さんだったかな、上手くいっているんですか」

「ええ、今まで以上に元気になって、毎日楽しんでるみたいです」

「彼氏でもできたのかな」

「いえ、それが占いに行ったみたいで。そこで、結婚の運気は4年後といわれて、それまで結婚せずに遊ぶと。もともと親に早く結婚しろと言われてて、結婚したほうがいいと思ってたみたいです。本当は仕事にもお金にも余裕ができてきたから、後輩たちとも遊びに行ったり海外旅行にも行きたかったみたいで、これからはそれまで遊ぶといっていました」

「そうでしたか。まあ、あの天真爛漫さをみれば納得ですね(笑)」

瑞枝は後輩の話をしている間も、目線を下げたまま和尚に話していた。

 

 

「さて、話は彼と別れたんでしたね。別れた原因はなんだったんですか」

「ケンカ別れといいますか、彼からもう一緒にいるのがしんどいといわれて。それで別れ話になって、それで彼が部屋から出ていって、それっきりです」

「それでなんで、“もっとストイックになりたい”と思ったんですか?はじめに聞いたとき一瞬意味がわからなくて“ストイック”を“ヒステリック”と聞き間違えた?と思ったぐらいでしたから」と、和尚は少し大げさに彼女の反応を伺うようにいうと、瑞枝は怖い目で和尚を睨みつけた。

 

「和尚さんが言うように、彼と一緒に棲みだしてから、私よくヒステリーを起こしてました。ときには彼に物を投げたりして、それで大ゲンカになったり。そんなことが度々あって、彼に愛想を付かされたのだと思います」

「それで、ヒステリーにならないぐらいのストイックな自分になりたいと」

「…そうですね。そんなふうには考えてなかったけども、言われてみたらそうですね。何事にも動じないどっしりと構えた、心が強くなりたいと思ったんです」

「なるほどね。十分心が強いですけどね」

「強くないです。だからもっと心が強くなるためにストイックになりたいんです!」

「心強くない人が、ストイックになりたいなんて言いませんからね、普通」

「えっ、どういうことですか。強くないから強くなりたいと思うんじゃないですか、普通」

「心強くない人は、強くなりたいと思うかもしれませんが、ストイックになろうとは言いませんからね、普通」

和尚は、瑞枝がこの問答にムッとし出して、次第に顔に朱が差すぐらいまで興奮しだしているのを見ていた。和尚は、彼女の自我が強いことを感じていたので、わざと怒りのエネルギーを使って、あまりにも落ちたネガティブな状態からやる気のエネルギーを引き出していた。

 

「来たときは、精気を失ったかのようにエネルギーが下がってましたけれども、今はどうですか?顔の血色がだいぶよくなったみたいですけど」

「えっ、あ、そうですね…」

「だいぶネガティブな感情に引きこもっていたみたですね」

「私、マイナス思考なんです。すごく人見知りでびびりなんです。それに私顔きついでしょう。初対面の人に顔怖いっていわれるし。慣れたら大丈夫なんですけど」

「そうですかね、控えめな感じもありますが、実は結構気が強くて芯があるように思いますけどね」

「えっ、はじめてです!まだそんなに知り合いったわけでもないのに、気が強いってここまで見破られたのは」

「そうですか?あなたの胸のところに、大きくそう書いてありますけどね(笑)」

瑞枝は和尚にそう言われたので、つい自分の胸に目をやり、そして笑みを作りながら和尚を睨んだ。

 

「和尚さん、私ストイックになれますか」

「う~ん、逆に聞きたいんですけど、なる必要ありますか」

「ありますよ!もっと強くなりたいんです!」

「え~、これ以上強くなるんですか。そんなに強いのに」

「和尚さん、私をからかってるんですか」

「真剣にいってるんですけどね(笑)今のままで十分、変わらなくても、あなたらしくて魅力的ですよ」

「え~、この私が?どこが魅力的なんです?変わらなくていいって、どういうことですか?私、マイナス思考でこんな自分が嫌だし、びびりで臆病な自分もなんとかしたいし。こんな私が嫌なんです。へたれな自分が嫌なんです」

「変わらなくてもいい。今のままで十分魅力的なんだから、ストイックになる必要もない!」

 

瑞枝は和尚に強く言われて、次の言葉を呑み込んで思った。

『なんでこんなマイナス思考で、びびりで臆病な私が変わらなくてもいいの!』と思うと、瑞枝は何がなんだかわからなくなってきた。

 

そして、瑞枝は和尚の顔を見ると、和尚が真剣にそう思って言っているのを感じて、余計にわけがわからなくなったのだった。

 

つづく。

次回は、明日9月4日(水)「びびりな私が、変わらなくてもいい?」をお話します。

 

 

※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。

 

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