「与える喜び」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第84話:「与える喜び」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
前回、優花のおばあちゃんは『与えることは生きること』。
すなわち、『生きるとは、与えること』。
与えることとは、与えることで相手が喜ぶということは人間の本源の心情・心根の理念。
見返りのない愛に根差していれば、与えるとは結局は取りも直さず自らに与えること。
すなわち、物心ともに豊かで健康な生活が約束され、これからも幸福を手に入れられる、と。
今回は、与える喜びについて、おばあちゃんは哲也と優花に話をしたのだった。
「哲也さんはどんなときに、喜びを感じるかしら」
「そうですね、人に何かをしたときに、相手の人が喜んでくれるときですかね」
「おあばあちゃん、私も哲也が言ったように、そう思う」
「そうね、与える喜びが身についた人は、『~したら喜ぶな』と、現在に未来に進行形に意識を持っている人だと思うのよね。
『与える』っていうのは、奉仕の心だと思うし、英語ではサービスって言うらしいわよね。
本来仕事も、誰かのために奉仕することであって、自分の労力を持って与えることよね。
哲也さんは、奉仕って言葉にどんな印象を持ってるかしら」
「奉仕ですか。そうですね、正直に思うのは、奉仕するって、なにか言われたからやるような、なんかつらいことをするイメージがありますね。
それに・・・、奉仕するからには損をしたくないような、そう、どこかで見返りを求めてるような気がしますね」
「そうね、大人ってどこかで損得を考えてるところがあるわよね。でも子供はどうかしら。子供が遊びに夢中になってる時って、損得を考えてるのかしらね」
「考えてないですね。ただ無心で夢中になっていて、人になにかをするときも、見返りなんて求めてない、素直な気持ちで与えてますよね」
「そこなのよね。人って言うのは、楽しいことやわくわくしたことをしている時は、素直な自分でいるから、素直な気持ちで『~したら喜ぶな』と、何かしてあげようと与えることができるわよね。
そこには親切心も働いたりするわよね。
でも、哲也さんがさっき言ってくれたように、なにかマイナスのイメージがあるのよね。
なぜそんなことを思うのかしらね」
「そうですね、う~ん、難しいですね」
「哲也さんはさっき、やらされてる感があるって言ってたわよね。それって、人の顔色をみてるってことかしら。
人の顔色を見ながらやるって、与えた気持ちになるかしら。やってあげた感の気持ちが湧くんじゃないかしらね。
そうなると、『これだけやってあげたのだから』って、そんな気持ちにもなるわよね。
そんなふうにどこかで思っていると、誰かのために与えるとなると、相手が確実に喜んでくれることしか、やりたくなくなるのじゃないかしらね。
そんなふうに生きてると、なにか人間の心って窮屈になるわね。
『与えることとは、与えることで相手が喜ぶということは人間の本源の心情・心根の理念』って言ったわよね。
だから、人は、人のために役に立ちたいとか、人が喜ぶ笑顔を見たいとか、ありがとうって感謝されるようなことがしたいとか、心が窮屈になる度合だけ、そんな心の欲求が強くなるのかもしれないわね。
聖書のマタイの福音書に有名な言葉があるわよね。
『自分にしてもらいたいことは、他の人にもそのようにしなさい』と。
これって、『~したら喜ぶな』と、自分が楽しくわくわくするようなことを意識し続けることだと思うの。
そう思うから、自分がそんな気持ちに満たされるから、その豊さを自分以外の人にもお裾分けしたいと思えるのだと思うの。
それを、自分が満たされていない状態で与えて、相手から喜びや笑顔や感謝をもらおうとするから、人は見返りを求めたような気持ちになっていて、本当は心の奥底ではすっきりしていない自分がいる。
だから人は、もっともっとと与える行為を使って、世話を焼いたり、干渉したりして、最後は“大きなお世話!うっとうしい!”って言われて、与え方がわからなくなってしまうのかもしれないわね」
哲也と優花はおばあちゃんの話を聞きながら、
まず自分自身が楽しいわくわくする気持ちになることが大切であって、だから人にもその豊かさをお裾分けすることが大事なのだと思った。
そして、現在に未来に進行形に『~したら喜ぶ』という意識を持っている人が、与える喜びが身についた人になるのだと思った。
哲也と優花は互いに相手のことを思いながら、優花がどうしたら、哲也がどうしたらと、自分が楽しくわくわくすることを考え、
それを考えるだけでも至福の喜びに包まれていることに、おばあちゃんは気づいているのかしらと、微笑んでいたのだった。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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