第一の法則『自分の中にある可能性にきづく方法』

 「自分の中にある可能性に気づこう ~その3~ 」

 

私は、彼に違う見方でたこ焼きを焼いてることへのヒントになればと思い、話しました。

 

「あるお寿司屋さんで、 見習いの若い男の子が、アナゴの煮汁を作っていました。

完成したので、大将に味見をしてもらいました。

 

すると大将は『甘みがたらん、味が薄い』と、厳しい口調で言われました。

大将は彼に『味付けにマニュアルはない。 自分の舌や体で覚えんとあかん。

ある程度までの分量は計算できるが、 その先の微調整の味付けは、 自分の舌と体で覚えた経験がすべてや。

 

だから季節や天候、雨の日と晴れの日とでは 醤油と砂糖の分量は違う。

味見をする前に刺激物の多いものを食べたら 舌が麻痺して話にならない。

それと自分のその日の体調によって 味の濃さが微妙に変わってくるんだ』と」。

 

私は、彼にたこ焼を作っているときにも、 このような経験がなかったかと聞きました。

 

すると、彼はしばらく考えた後、 笑顔でたくさんのことを思い出して話してくれました。

「初めは、先輩の見様見まねで焼くことに必死でした。 慣れてきて自分が粉の調合からすべてを任されるようになったんです。 あるとき、たこ焼きを焼いていると、晴れの日と雨の日とでは、 水の配合が微妙に違うことに気がついたんです。

 

晴れて乾燥しているときと、 雨の日の湿度が高いときとでは、 鉄板の油ののりが焼いていて何か違うんです。 くしで回すときの感じが微妙に違うんです。

晴れて乾燥しているときと雨の日とでは、温度調節も微妙に違うんですよ。

晴れて乾燥していると微妙に焼きが早く焦げやすいし、 雨の日は温度を上げすぎると外だけ焦げて中は焼けていないので、 じっくりと焼かないといけないんです。

 

この温度調節が、 けっこう慣れるまで自分が思うようにできなかったんですけど。

あとそれにその日の気分によって、 溶いた粉を鉄板に流し込むときに微妙に手元が狂って、 粉の量が多すぎたり少なすぎたり、 自分のイメージ通りにいかないことがあるんですよ」と。

 

彼は、今まで当たり前のように無意識にたこ焼を焼いていましたが、 このことがきっかけで、仕事への取り組む姿勢が変わっていったそうです。

 

その後彼と何度か会いましたが、 会うたびに彼の表情はいい方向に変わっていき、 明るさと自信に満ちた男らしさを感じるようになっていきました。

 

その後の彼については、次回「自分の中にある可能性に気づこう ~その4~ 」へつづきます。

 

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