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◆心の底から自分らしく生きるメソッド◆

「光曉和尚の愛と心のセラピー物語」

~私、自分らしく人生を生きます~

 

 

 

※はじめてこられた方は、

の物語の『登場人物』・『あらすじ』を 先にお読みいただければ幸いです。

 

 

§ 幸せになることが怖い

 

前回、和尚は、私たちを苦しめるトリック(罠)が、ただある『苦しい』気持ちに自分が罪悪な感情を使って納得する意味づけをするという話をした。

今回は前々回に話した、私たちを苦しめるのは、『幸せになることが怖い』からだと言ったことを、もう少し掘り下げて話しておいた方がいいと思ったのだった。

 

 

「苦しくなる罠のことはわかりましたが、なんで苦しむ原因が『幸せになることが怖い』ことなんですか。幸せになりたい、いえ、幸せになると思っている自分が怖いってことですか」

和尚は、瑞枝がそこを聞きたくてしょうがないと思っていたので、話そうとして正解だと思った。

 

「そうですよね、みんな幸せで豊かになりたいと思っているのですから、おかしなお話ですよね」

「そうですよ。私怖いって感じしないんですけど。私幸せになれるんだと、どちらかというと楽しみな気持ちの方が強いんですけど。どういうことですか」

「瑞枝さん、さっき“幸せになりたい”を“幸せになる”と言い換えましたよね。なぜ言い換えたのでしたか」

「それは、“なりたい”だと、なりたい状態のままだからです」

 

「そうでしたよね。じゃ、一つ質問しますね。瑞枝さんは幸せになる許可を自分に出していますか」

「許可ですか?幸せになるんだから、許可だしてると思いますよ。出してますよ」

「では、次に言う言葉をいってもらっていいですか。

 

『私は、もう幸せになっていいんだ』。

 

どうしましたか?」瑞枝は、和尚の顔を見たまま固まっていた。

 

「瑞枝さん、幸せになるんですよね。幸せになる許可を出したんでしたよね。じゃ、この言葉をいってみてください。

 

『私は、もう幸せになっていいんだ』」

 

「瑞枝ちゃん、ただ言うだけやからいってみたら」

瑞枝は、言おうとするのだが言葉が出てこなかった。そうこうするうちに、瑞枝の目には涙が溜まってきたのだった。

 

 

「瑞枝さん、私のあとについてただ言ってみてください。

 

『私は、もう幸せになっていいんだ』」

 

瑞枝は、言おうと口を開けるのだが、その先の言葉が声にならなかった。そして、目に溜まっていた涙が頬をつたっていった。

 

 

わ た し は、も う、しぃ、しぃ、しぃ・・・

瑞枝の大きな潤んだ目からは、涙が滴り落ちていた。

 

和尚は、瑞枝が体を前かがみになって感情に入り込みそうなのをみて、 「瑞枝さん、感情に入り込まないでください。言葉に私に意識を向けてただ言ってみてください。

 

『私は、もう幸せになっていいんだ』

 

 

わたしは、も う、し あ わ せ に なっていいんだ

瑞枝はか細い小さな声で、懸命に涙を堪えながら言った。

 

『私は、もう幸せになっていいんだ』もう1回」

 

 

私は、もう、幸せに、なっていいんだ

 

「『私は本当に幸せになるんだ』

 

私は、ほんとうに、幸せになるんだ」と言うと、

瑞枝はもう堪えきれず堰を切ったように体を前のめりになって号泣したのだった。

 

有里は瑞枝の側で、子供にそうするときのように背中を撫でていた。

 

 

しばらくして、ようやく落ち着きを取り戻した瑞枝は、号泣した自分に照れくさそうにしていた。

 

「瑞枝さん、今の気分はどうですか」

「すっきりしました」と鼻声で言った。

「瑞枝さんは、今まで本当に頑張ってきましたもんね。マイナス思考の自分と。ようやく自分が幸せになる許可を出した感じですか」

「はぃ、今ならなれる気がします。いゃなれますですね」

和尚は、これが瑞枝の終わりではなく、本当のはじまりだと思っていた。

 

 

「瑞枝さん、少しおさらいをしておきましょうか。瑞枝さんは、なんで『私は、もう幸せになっていいんだ』と言えなかったと、今なら思えますか」

「その言葉を思ったとき、こんな自分が幸せになってもいいのかと思いました。そうしたら、走馬灯のようにマイナス思考の感情が込み上げてきて、こんな自分は幸せになんかなれないと思いました。

それでも言葉をいおうとすればするほど、言えなくなっていって・・・」

 

「幸せになるって、楽しみな気持ちの自分がいたのにね」

「だって、こんな自分は幸せになれるはずはないと思ったんですから・・・」

『私は、もう幸せになっていいんだ』というときは、どんな気持ちでしたか」

「ものすごく勇気がいって、幸せになるのが怖くなりました。そう、怖かったんです」

 

「私の質問に答えてくれて『ありがとう』。

それが『幸せになることが怖い』答えです」

和尚はそう言って、満面の笑みで瑞枝に微笑み掛けた。そして、

 

「あっ、そうそう瑞枝さん、これは幸せになる終わりではなくて、はじまりですから」と言って、和尚は笑顔で瑞枝を見たのだった。

 

それを聞いた瑞枝は『えっ!』という顔をして、いつもの口を尖らせてすねた子供のような顔をしたのだった。

 

つづく

次回明日12月14日(土)は、

メソッド実践編:「『アフォアフォ』の思い込み」 をお話します。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。 心より感謝いたします☆

※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。

 

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