「人は自らの学びのために家族を選んで生まれてくる?②」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第60話:人は自らの学びのために家族を選んで生まれてくる?②」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
哲也は優花のおばあちゃんがなぜこんなにすごい人なのかを、直接おばあちゃんに聞いた。
おばあちゃんはその鍵となる不思議な体験をしたようで、哲也に『人は自らの学びのために家族を選んで生まれてくる』と聞いたらどう思う?と言葉を投げかけたのだった。
おばあちゃんは当時のことを思い出すかのように話し出したのだった。
「あれは今から丁度20年前の1997年7月3日にある20歳の女の子と出会ってね。
その前からその子のことは知っていて、家庭が凄く荒れて。三人兄姉の末っ子に生まれた彼女は、兄姉の影響も受けて小学生からやんちゃな子だった。
それから彼女と出会ったのは、彼女が20歳の頃だった。
ある日市内へ用事があって行った帰りに、その子が男性数人と口論をしていてね。派手な格好をしていたのではじめは気づかなかったんだけど、よく見るとその子だとわかった。
状況から見て男女のもつれかと思ったんだけど、どうやら男たちから声を掛けられしつこく言い寄られてたみたいだった。
彼らを振りほどいて歩こうとする彼女をさらに追い掛けて言い寄っていたので、私はよく知っている彼女のおばさんを装って声を掛けてあげた。
それでその場は収まって、彼女は夜のお店に出勤途中だったようで、そのまま彼女は行ってしまったんだけどね。
それから数日したある日、彼女が家を訪ねて来た。わざわざお礼を言いに来てくれてね。
やんちゃなところは残っていたけど、気さくでとっても素直な子でね。それからちょくちょく遊びに来るようになってね。
いつも嬉しそうにやって来て、夜のお店でのお客さんの話や今流行している話題などたわいない話をして帰って行くんだけど。彼女と話をしているとこうやって誰かと話をすることがなくて寂しいのだと思った。
それもそのはず、一人暮らしをしていて昼過ぎに起きて夜お店に行って深夜に帰って来ることを繰り返していたみたいだっただから。
ある日彼女と話をしていると、今度相談に乗ってほしいと言われてね。
それでその相談に乗ってほしい日が、1997年7月3日だったわけで。
車で家に帰ってきたところに彼女が待っていて、今日はお店休みだからと言ってね。
それで家に入るように言ったら、車でドライブしたいと言ったものだったから、私も時間があったから家に荷物を置いてドライブに出かけてね。
この前家に来た時に、今度相談に乗ってほしいと言っていたから、その話をするのかと思って車を走らせたんだけど、一向に相談の話にならなくてね。
それで私が、相談があったんじゃないのって聞いたら、今はいいって言って車を止めて静かなところで話したいって言ったものだから、車を止めて静かに話せるところなんてあるようでなくてね。
それで車を走らせていたらあるお寺を思い出して、そのお寺の山門から入ったところに誰もいない駐車場があって、ここならいいと言うので車を止めたんだけど。
いざ相談を聞こうとしたんだけど、なかなか彼女が言いださなくてね。それで聞いてみた。
『相談ってなに?』って。
そしたら彼女はこちらを睨み付けるように見て、『言ったら答えくれるのか』と言ったので、私はなぜか根拠もないのに『あげる』って言っていて。言った後に、まあこの子よりは人生経験豊富だからなにかしらの話ができるんじゃないかと。
そうしたら彼女は『じゃ言うわ』と言って話し出した。
『私の家の事知ってるやろう。お兄ちゃんもお姉ちゃんも番(番長)張ってたから、私も小学生の頃から酒もたばこもやってた。中学になっても学校いってもほとんど勉強してなかった。
それで中学卒業したら高校にも行かずに、先輩の暴走族仲間といつも一緒にいて遊んでた。
私はそのときリーダの彼女だったんだけど、ある時、私、彼氏だけでなくて他の仲間にも回されて(集団輪姦)。彼氏に嫌われるが嫌やったから断わられなかった。
それで妊娠した。妊娠しとき彼氏の子やと直感的にわかってたから彼氏に言ったら、なんで俺の子やってわかるのかって言われて、他にもしてたやないかって言われて。
これ以上言っても無駄だと思ったから、私一人で生んで育てようと思った。
妊娠5ヶ月になったとき母親に妊娠がばれて、母親に強引に病院に連れて行かれて子供をおろした。
その時私、子供を殺したって思って。私人殺しやと思って。こんな私生きててもしょうがないと思って何度も自殺しようと思ったけど、その度に邪魔が入って結局死なれなかった。
人殺しの私は生きててもしょうがないねん!!』
彼女が泣きながら話終えたのを見て、私は呆然としていた。
彼女の泣くのが落ち着いて来た時、
言うたで!早く答えちょうだいや!早くちょうだいや!!って迫られて。
私はその言葉を聞いて金縛りにあったように考えも体も動かなくなって、ただ彼女が私に向かって叫んでいる言葉だけが聞こえてきてね。その状態が30秒ほど続いていたようで。
気がつくとなにか私の見えるものすべてが止まったかのようにスローモーションに見えて。
そして、私の頭の上の方から男の子の声がして。気がついたらその男の子が言っている言葉をそのまま私が彼女に話していた。
『お母さん、僕はこうなることを知ってお母さんのお腹に宿ったんだよ。だからお母さん、自分をそんなに責めないで。僕が決めてお母さんのお腹に宿ったんだから。
僕はお母さんにメッセージを伝えたくて、お母さんのお腹に宿ったの。僕ははじめからこうなることがわかってた。
僕がお母さんに伝えたかったのは、お母さんのこの苦しみを同じように苦しんでいる人を助けてあげてほしいの。お母さんにはそれができるから、僕はお母さんを選んだの。
だからお母さんもう苦しまないで。お母さんと同じように苦しんでいる人を助けてあげて。お母さんにはできるから』
私は言い終えスローモーションだった意識が普通に戻って彼女を見ると、彼女は鼻水を垂らしながら号泣していた。
しばらくその光景を眺めていると、彼女は車に備え付けてあったテッシュで鼻をかみ、『あ~すっきりした!!』と言って、透き通るような顔で笑ったのよ。
つづく
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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