「生きている意味なんて」-プロローグー
三部作:第二部!!
前回の「男性不信を乗り越えて」に続く、第二弾です。
今回の物語は、お母さんのある言葉がきっかけとなり、娘である彼女が、その言葉を一人背負い込んでしまいました。
そして彼女は「生きている意味なんてない…。」というところまで追いつめられてしまったお話です。
はたして、彼女はどのようにして、その思いから解放されていたったのでしょうか。
‐プロローグ‐
梅の花が鮮やかに咲き誇り、山里にも春の訪れを感じさせる季節となっていた。
そんな昼下がりに、一人の二十代前半と思わしき女性が光曉和尚のいる寺を訪ねてきた。
彼女は母屋の玄関にやってくると、「ごめんください。」と言って、引き戸の扉を開けた。
中から「は~い。」という女性の声がすると、その女性が姿を現し、優しい笑顔で迎えてくれた。
「あの~、こちらに光曉和尚さんはいらっしゃいますか。」
「今ね、留守にしてるけれど、あと15分くらいで帰って来ると思うけど。お約束をされていらしたのかしら。」
「いえ、突然来たのですが、陽子さんという方の紹介でこちらに来ました。」
「あらそうなの、せっかくだから中に入ってお茶でも飲んで。さあさあ、あがってください。」と言って、その女性は檀家さんにいつもしているかのように、気さくに声を掛けて彼女を居間に通したのだった。
彼女は、緊張した面持ちで居間に入り、座布団の上に腰かけた。
しばらくすると、お茶とお茶菓子が一緒に運ばれてきた。
「まだまだこちらは寒いでしょう。」
「そうですね。都会と比べるとひんやりしますね。失礼ですけど、和尚さんの奥さんですか。」
「そう奥さんです。」と言って、人懐っこい笑顔で笑った。
彼女はその優しい笑顔を見て、緊張がほぐれ少しほっとしたのだった。
そうこうしているうちに、和尚が帰って来た。
「ただいま帰ったよ~。」と、玄関から聞こえる明るくて軽い調子の声に、彼女は親しみを覚え、さらに緊張がほぐれていくのがわかった。
「お客さん?」
「そうよ、あなたに。綺麗でかわいい女性が。陽子さんっていう人の紹介で来たんだって。」
「そう!それはそれは。」と喜び勇んだ声で言いながら、和尚は居間に入って来た。
「ほ~これはこれは。ようお越しなすった。陽子ちゃんの妹さんで。」
「いえ、陽子さんの後輩です。」
陽子とは、以前の最終話で夫と子供を連れてこの寺に来た、”あの男性が信じられない”と言っていた女性だった。
「あ、そうでしたか。これは早とちりをしてしました。」
「も~綺麗な人を見て、舞い上がってるんじゃないの。」
「そ、そんなことはないよ。」と言って、和尚は照れ臭そうに頭を掻いた。
彼女は、和尚と奥さんの会話を聞いていて、久しぶりに幸せな気持ちになっている自分がいたのだった。
「ところで、どうしたのかな。何か重たいものを背負っている感じがするけども。」
「はい、実は。」と、彼女はこの和尚さんにならすべてを話そうと思い、
「私、もう生きている意味がわからなくて。」と、言ったのだった。
つづく。
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