第二の法則 『ほんとうの自分を知る法則』

 「自分らしい生き方~その3~」

 

彼は私が絶対に父を超えることはできないと言った言葉に、

俯いていた顔を起こし、私をぎょろとして目で睨み付けました。

 

私はその目を見たとき、

あなたがそんな目で私を見る気持ちわかるよ、

と心の中で叫びました。

 

そんな気持ちを込め彼の目を見ながら話を続けました。

 

 

「親父を越えることはできないと言ったけれども、

誰も親父を越えることはできないんです。

私から言ったら、親父を越えるというのは傲りなんです。

 

人生を私らの何十年も先を経験して生きている人を

越えることなんか誰も無理なんです。

 

だから親父を越える必要もないし、越えなくていいんです。

それよりも自分の人生を生きることの方が大事なんです。

 

もしあなたの親父さんが、

今のあなたの話を天国で聞いていたら何と言うと思いますか。

 

きっとこう言いますよ。

 

『すまん、俺はお前をこんなにも苦しめてたんか。

お前の気持ちも分からんとすまん。

兄貴が継いでくれると思っていたのが、

継いでくれなかったからお前が頼りと思って…、

お前にこんな苦しい思いをさせてすまん。ゆるしてくれ』って。

 

いいですか。 親父を越えたって言うのは、

自分が思うのではなく周りがいうことなんです。

 

お母さんや今の社長があなたに、

『立派になってお父さん越えたな』って言う言葉なんです。

 

だから越えるって思わなくてもいいし、

考える必要なんかないんです。

 

あなたは、あなたの道を生きたらいいんです。

 

例えあなたがお父さんの会社にもどったとしても、

あなたのために生きたらいいんです。

 

お父さんと自分を比較する必要もないし、

逆にお父さんのすごいと思ったことは真似をして、

それを自分なりにアレンジしてやっていったらいいだけなんです。

 

お父さんもおじいさんのいいところを真似して、

自分なりにアレンジして時代に合った

今の会社にしていったと思いますよ」と、 私は話しました。

 

彼の雰囲気は一見変わっていないように見えましたが、

彼の目はものすごい力のある目をしていまいた。

 

私は、彼に自分を整理する時間がいるからと、

二週間後にもう一度会う約束を取り、その日はこれで終わりました。

 

 

二週間の間に、彼を紹介してくれた女性から私に連絡がありました。

「彼、ものすごく心の中がすっきりしたって、

あの人すごいわって連発してましたよ。」と、

その彼女は話してくれました。

 

私は、彼女からの話を聞いて「よかったよかった」と、

心から暖かい気持ちに満たされました。

 

二週間後、彼と再び会いました。

あの後、とても気持ちが楽になったと話してくれました。

 

その後、彼は今の会社の社長と話をして、

同じ業界の同じような規模の会社に 再就職をすると決めたそうです。

 

この話は10年以上も前の話なので、

今は会社を継いで専務か、 ひょっとしたら社長をしていたら本当に嬉しい限りです。

 

次回につづく。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です