セラピー物語:「マイナス思考な私が贈り物?(後半)」
◇心の底から自分らしく生きるメソッド◇
『光曉和尚の愛と心のセラピー物語 婚活編』
~私、もっとストイックになりたいんです~
§ マイナス思考な私が贈り物?(後半)
「和尚さん、私、この自分のマイナス思考が嫌なんです。今もすぐ不安な気持ちになって」
「それで、自分のマイナス思考が、プラス思考になれば、自分はもっと幸せになれる、とでも思っているのかな」
「もっとプラス思考になれれば、いつもこんなにしんどくなくて済むと思うんですけど…違うんですか」
「まあ、簡単に言ってしまえばそういうことですかね」
「えっ、なにか違うんですか」
「ポジティブにものごとを考えることはとてもいいことだけども、だからといってネガティブが悪いと思ってしまうことなんですがね。それよりも、また思っていますね。プラス思考になれば、自分はもっと幸せになれる、と」
「ええ~、たぶん…」
「このことは今日、是非、頭に叩き込んで帰ってください。マイナス思考を変えるとても大事な考え方になりますから」
「はい、わかりました」
「瑞枝さん、今私がなんのことをいってるかわかっていますか」
「えっ、いや、ごめんなさい。わかっていません…」
「ハハハ、正直でよろしい。先ほど言った、“~すれば、~になる”という話です」
「あっ、はい」
「プラス思考になれば、自分はもっと幸せになれると、今思っていますか」
「はい、そうなれると」
和尚は、瑞枝からのその言葉を聞いて、普通はこんなものだと思った。使い慣れた考えを変えるというは、普通こんな感じで始まるのだった。
和尚は、瑞枝に再度わかりやすく、“~すれば、~になる”と
“~だから、~になって~になる”の考え方について説明した。
(この考え方の詳細は、前回の(A)(B)の文章の前後を参照ください)
『プラス思考になれば、私はもっと幸せになれる』ではなくて、
『マイナス思考だから、プラス思考になって私はもっと幸せになる』
「瑞枝さん、理解できましたか」
「はい、理解できました」
「今までの習慣で身に付いてしまった考えですから、心に落とし込んで理解することがとても大事になります。
例えば、この地元の料理が美味しいからその作り方を聞いて帰って、家で同じように作れなかったら意味がないんです。いざ作ろうと思ったらうる覚えで、そんなとき瑞枝さんだったらどうしますか。インターネットにものっていない作り方だったら」
「う~、そうですね。作るのをやめるか、作ってみて同じ味にならなかったら二度と作らないかもしれません」
「そうなんです。この考え方も、せっかくいいものであってもうる覚えだったら、使えなかったり、使ってみても効果がないと思うと、もう二度とやらなくなるんです。人の心も、同じです。
瑞枝さん、あなたが気づいたり学んだり修得したことに、そこにあなたにとって、意味があるとしたらなんだと思いますか。
実は…、瑞枝さん、それを聞いてしまうと、幸せになってしまいますが、どうしますか聞きたいですか?怖いですよ…(笑)」
瑞枝は口を尖らす仕草をしながら、次の言葉をためらっていた。
「いつも決めることをしてこなかった瑞枝さんにとっては、難題ですよね。どうしますか?(笑)」
和尚はわざと、瑞枝に自分の意志で決めることを学ばせていた。自分で決めることに慣れていない人にとっては、このような状況になると、決めることが簡単そうで躊躇してしまうのである。
瑞枝は困った時に出る癖なのか、口を尖らせたりあひる口の仕草をしながら、何度も和尚の目を覗き込むようにして、ようやく「はい」と返事をしたのだった。
「そこにはあなたの使命があるのです」
「えっ!使命ですか!」
瑞枝は自分とはあまりにもかけ離れた言葉を聞くかのように、目を大きく見開いた。
「そうです。それはあなたの人生の目的の一つと言っても過言ではありません」
「え~、そんな大それたこと、私にはできないです!」
「大それたことではありませんよ。それは人として当たり前のことです」
「当たり前のことですか…、人として」
「大丈夫です!あなたにはそれができます。それを聞きたいですか」
瑞枝はまた同じ口の仕草をしようとすると、和尚は、
「今度は即決です!自分の心の直感に従ってください!そんな不安げな顔をしないんです(笑)瑞枝さん、答えはあなたがこれからどうしたいかですよ。いつもここで、自分にはできない、無理だと思って、チャンスがそこにあっても、チャンスをものにできなかったんですよ」
「はい…、ぜひとも…。わたしにできますか」
瑞枝は苦笑いを作りながらも、和尚の話を聞くことを選択したのだった。
「それは、あなたがマイナス思考と思って今まで辛い思いをしていたのが、自分に気づきや学び、役に立つ方法を修得して、自分が変わることができたなら、今度は、あなたが昔のあなたと同じようにマイナス思考で辛い思いをしている人に、手を差し伸べてあげることができるということです。
なぜなら、あなたと同じように辛い思いをしている人は、他の誰よりもあなたにはどうしてあげることが一番いいのか、あなたは自分の心の中に答えを持っているからです。
これが、あなたが持っているものをこの世の中の人のために、あなたができるあなたからの贈りものなのです。それは人から人へ、大人から子供へ、先輩から後輩に、です。
こんな言葉を聞いたことはないですか。
例えば、落ち込んでいる友人の側に行って
『大丈夫?私にはあなたの気持ちがわかるよ。だって、私もそうだったから』と。
この言葉一つで、どれほどその人の心が救われ、癒されるかわかりますよね。
それが、人の自然な摂理なんです。それが人の心の痛みがわかるってことです。
あなたがこうして今まで成長してきたように。
多くの人の支えと助けによって体験してきたことです。
私は、一人でもたくさんの人に、その自然の摂理に気づいた生き方を思い出してもらいたいのです。たくさん増えてその輪が広がれば、もっともっと人が人の心に寄り添えることが当たり前の社会になると信じているんです」
「和尚さん、私にもそんな生き方できるんですか」
「できますとも。あなたには才能がありますよ。マイナス思考という体験の才能が!」
「この私のマイナス思考が…、人の役に立つんですか」
「役に立ちますとも!そんな生き方ができます。でも、一つ残念なお知らせがありあます」
瑞枝は和尚のその言葉を聞いてまた口を尖らせ、上向きになっていた気持ちが急降下するように不安になった。
和尚は楽しげに瑞枝にいった。
「そんな生き方をしたら、本当に幸せになってしまいますよ。いいんですか、マイナス思考になって嘆き悲しんでいる自分に自分を慰められなくなりますよ。あ~目の前にあなたがキラキラ輝いて幸せになっている幻想が…」といって、和尚は目の前の幻想を振り払うかのような仕草をした。
瑞枝は、和尚の遊び心の気持ちに引き寄せられるように、
「も~なに言っているんですか。幸せになっていいに決まっているじゃないですか。私は幸せになります。それは幻想ではありません。それは現実に見える私です!」といって、瑞枝は和尚を睨むように、生き生きとした顔で笑った。
和尚は、彼女にわざと逆説的なことを言って、『幸せになる』と自分に許可を出すように意思表明させて、まだ弱々しいが、彼女の心に一本の光の柱を立てたのだった。
「最後に、先ほど話したことも踏まえて、帰ってからも自分の気持ちを高める日々使える手法をお教えしたいのと、一つお願いもあるのですが、その前に、彼と別れた原因も整理しておいた方がいいと思うのですが、どうしますか」
「聞きたいです。彼氏ができたらまた同じことをしてしまいそうなので」
瑞枝は襟を正すかのように座り直して、和尚の言葉を待ったのだった。
つづく。
次回は、明日9月8日(日)「彼と別れた原因」をお話します。
※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。
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