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◇心の底から自分らしく生きるメソッド(序編)◇

『光曉和尚の愛と心のセラピー物語』

~私、もっとストイックになりたいんです~

 

§ ヒステリックが別れの原因ではない(前半)

 

前回、和尚は、瑞枝から改めて彼と別れた経緯を聞いた。瑞枝は、自分が幸せになることを決意して、彼との原因をすべて受け止める覚悟をし、和尚から彼と別れた原因の話を聞こうと思ったのだった。

 

「さて、瑞枝さん、あなたは幸せになるんでしたよね。そのためにも、ユニークは方法で彼と別れた原因を探って行きましょうか」

和尚はそういって、椅子から立ち上がり瑞枝に語りかけた。

 

「まず、目の前にある長方形のテーブル(来客用のローテーブル)を見てください。そして、その前にあるテーブルがあなたの心だと思ってください。いつものマイナス思考の私の心だと思ってみてください。いいですか。

 

次に、立ってもらっていいですか。そのまま椅子の上にあがってください。そして、あなたの心であるテーブルをみてください。どうです、座って見ているときとは、感じが違いますよね。

 

傍観している自分がいませんか。同じテーブルを見ていても、心に余裕みたいなものを感じるのではないですか。ものを違った目で見るって聞いたことがあると思いますが、視点を変えるだけで自分の心もこれだけ違うのです」

瑞枝は、不思議なものを見るようにしばらくテーブルを眺め、その感覚に納得したように頷いた。

 

「この感覚を覚えておいてください。これが、心の中立的な状態だと思ってください。ポジティブでもなくネガティブでもないこの状態を。なにか“素”な自分の感じに思えますか。そんな感じに思えたら次にいきます。

 

これから、瑞枝さんの心のパターンの再現をしていきます。そのまま立ったままでいいですよ」

そういって、和尚は近くにあった古新聞や雑誌の入った袋を持ってきて、無造作にいくつもテーブルの上に放り投げ出した。

 

テーブルの上には、古新聞や雑誌が様々な方向を向き、中にはテーブルの上からはみ出している雑誌もあった。

 

和尚は瑞枝に、「ただ自分がどんなことを思ってるか、感じてるかを意識しておいてください」といって、さらに新聞や雑誌を今度は広げた状態でテーブルに放り投げた。

 

テーブルが古新聞や雑誌で埋め尽くされだすと、和尚は「あ、そうそう、瑞枝さん、このテーブルってあなたの心でしたよね」といいながら、今度は広げた新聞紙から1枚抜き取って、ぐしゃぐしゃと丸めてテーブルの上に無造作に放り投げ出した。

そして、また1枚と同じ作業を繰り返した。その丸められた古新聞紙は、勢い余ってテーブルから転げ落ちるものもあり、次第にテーブルはそれらでいっぱいになった。

 

瑞枝は、和尚にテーブルが自分の心だと言われると、なんだか嫌な感じになっていた。和尚は、あえてその言葉をいうことで、瑞枝に客観的に見ていた心を自分の心に意識させた。その瑞枝の顔が、嫌な感情を感じて表情を歪め出したのを見て手を止めた。

 

和尚は、瑞枝にしばらくそのまま眺めて見ているようにいった。和尚は瑞枝の正面からテーブルに近づくと、テーブルの正面から右端に両手を伸ばした。

そして、そのまま右端から左端にテーブルの上の古新聞や雑誌を掻き寄せて全部床に放り投げた。床には、古新聞や雑誌、丸めた新聞紙が床一面に散乱していた。

 

瑞枝はその状況に目を大きく開いて驚き、散乱した新聞紙と和尚の顔を交互に見ていたのだった。

 

 

明日9月11日(水)「ヒステリックが別れの原因ではない(後半)」へつづく。

 

※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。

 

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