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◇心の底から自分らしく生きるメソッド(序編)◇

『光曉和尚の愛と心のセラピー物語』

~私、もっとストイックになりたいんです~

 

§ ヒステリックが別れの原因ではない(後半)

 

前回、和尚はテーブルの上に自ら散らかした新聞紙や雑誌を掻き集め、そのまま床に放り投げ、瑞枝はその状況に驚いて目を大きく見開き、散らばった新聞紙と和尚の顔を交互に見てたのだった。

 

和尚は一仕事終えたように笑顔で、瑞枝を見た。瑞枝はいったいなにが起こったのかという表情で、和尚の顔を心配げに見ていた。

 

和尚は嬉しそうに話し始めた。

「瑞枝さんは、けっこう負けず嫌いで気が強くてせっかちなところがあるのに、そんな自分の気持ちを抑えますよね。きれい好きな瑞枝さんは、はじめに無造作に放り投げられた古新聞や雑誌を見て少しイラッとたんではないですか。

『置くなら放り投げださなくても、新聞は新聞、雑誌は雑誌で向きをそろえて置けばいいのに』と、思ったのではないですか。

 

でも、まあ、なにが起こっているかわからないし、私がしていることですから、そんなことは言えず、どんどん古新聞や雑誌が無造作に積み上げられていきましたよね。

 

ここで気づいてください。先ほどのテーブルの上の散らかった状態は、まさに瑞枝さんの心の不平不満の怒りが積み重なって行く心の状態と同じです。

 

私は、さらに瑞枝さんの嫌な気分になってきているその怒りを、逆なでするように新聞紙を丸めて放り投げました。テーブルの上には丸めた新聞紙でいっぱいになっていて、もう乗りきらない状態でしたよね。

 

それでもテーブルに丸めた新聞紙が放り投げられると、丸めた新聞紙はぶつかり合って転げ落ちる始末。それはまるで、我慢の限界に達した心から怒りの一部が漏れ出したかのように、です。

 

そして、私が掻き集めた新聞紙と雑誌を、バサーッとそのままテーブルから床に散乱させました。それはまるで、我慢の限界に達した心が爆発するかのような状態です。

つまり、ヒステリックになった状態です。瑞枝さんの心であるテーブルの上は、すっきりきれいになりましたね。

 

でも、瑞枝さん、この床の上に散乱している新聞紙や雑誌を見てください。

いいですか、これが、怒りが爆発してテーブルという心はすっきりしましたが、ヒステリックになった後の、なんとも遣り切れない自己嫌悪や罪悪感なんです。今どんな感じですか」

瑞枝は椅子の上に立ったまま、テーブルと散乱した新聞紙などを何度も交互に見比べながら、忙しく気持ちの整理をしていた。

 

 

「なんか、とても冷静です。冷静に見ています」

「そうですか、冷静に見ていますか。ネガティブな気持ちはないですか」

「いえ、ないと思います。ただ起きていることを冷静に見ている感じです」

「瑞枝さん、これがいつも我慢して自分を抑えすぎてヒステリックになってしまう心のパターンです。テーブルというあなたの心が、我慢すればするほどいっぱいになってしまうんです。

 

多く私たちは、実際に事が起こった『ヒステリック』に目が行ってしまい、そこを原因だと思ってしまいます。

 

でも本当は、自分の気持ちを抑えていたことに原因があったことには、意識が向かないんです。だから、『ヒステリックを起こしたあなたが原因』と、思うわけです。

 

まあ、これだけが原因ではなく、様々なことが絡み合っているとは思いますが、瑞枝さん、あなたのこの罪悪感は手放しておく必要があったのです。

 

今は、瑞枝さん、あなたが気づき自分が変わることがとても重要です。

なぜわざわざこんなことをしたかというと、今まであなたが自分の気持ちを抑え続けて来て、どれだけ自分を最悪な人間だと責め続けてきたかを知ってもらうためです。客観的になって、自分を冷静に知ってもらうためです。

 

今のあなたの状態は、自分を客観的に見ることによって、自分を責めていた罪悪感を手放した状態です。あなたがあなたらしさを取り戻すために、次の打つ手を理解するためには、あなたが自分を客観的にみて、今までのように自分の感情に振り回されるのではなくて、これからは自分で自分の感情を操縦する生き方が大事なのです」

 

和尚は、古新聞や雑誌を使って、瑞枝にロールプレイングという心の模擬体験をすることによって、客観的な状態で、心で感じ、頭でもとごとを捉え、気づきを与えようとしたのだった。

 

瑞枝は、椅子の上から和尚の話を、冷静にだが『ぼ~っ』とした感じで聞いていた。

 

「瑞枝さん、今、余計なことを考えなくていいですよ。椅子の上から客観的に眺めて、『そうだったんだ~』と、自分の気持ちを抑えすぎていたことに、ただ気づくだけでいいですから。

疲れたでしょう。座りましょうか。今から、とても大切なその理由を説明しますね。 是非、今日修得して帰ってください」といって、和尚はここでブレイクタイムを入れたのだった。

 

つづく。

次回は、明日9月12日(木)「マイナス思考を繰返さないために」をお話します。

 

※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。

 

 

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