20140414やる気

 

 

やる気にさせる必要はない!(第⑥話)

 

 

“こどものこころアドバイザー(心理セラピスト)”の
前中 光曉(まえなか こうぎょう)です。

 

コントロールのお話をしていますが、実は、このコントロールの
心のメカニズムを知ることが、このブログのテーマである
「やる気にさせる必要はない!」には、とても大切になってきます。

 

 

今回は、「コントロールが子供の可能性を小さくさせる」について、
ある親子の物語(事実をもとにしたフィクション)をしたいと思います。

 

 

*******

 

 

梅雨入りしたせいか、雨が降ったりやんだりの空模様だった。

 

 

作務衣に身を包んだ和尚は、境内に咲いたあじさいを見ていると、
境内にお母さんと大人しそうな娘さんが入って来るのが見えた。

 

 

和尚は、ある人からの紹介で二人に会うことになっていた。

 

 

二人は客間に通されると、お母さんはもの凄い勢いで、
今日来た趣旨を話し出した。

 

 

 

「和尚さん、この子ね、家にずっと引きこもって、せっかく大学に受かって安心していたのに、学校に行っても友達もつくらずに、すぐに家に帰って来ては部屋に閉じこもりっぱなしで、大学生になったんだから、友達もつくってアルバイトをしたりとか、友達と遊びにいくとか、なにかしらしたらいいのに家に入り浸りで。

 

 

大学生になったんだからアルバイトぐらいして、学費以外の自分が遊ぶお金ぐらいは自分で稼いでほしいんですけど、この子アルバイトも見つけようとせずずっと家にいて、なんにも言わないから、生きているのか死んでいるのか、もうこの子の将来どうなるのかと思うと心配で、なにかいいアルバイトでもあればいいのですけど」

 

 

和尚は、お母さんの余りの勢いに心の中で苦笑いをしながら、思わず聞いてしまった。

 

 

「アルバイトを探すお話ですか?」

 

 

「いえそれもそうなんですけど、この子の将来がどなるのか親として心配で、それで和尚さんに相談にきたんですけど、あんたもこのままでは将来が心配なんやよね。ちゃんと和尚さんに自分の気持ちを言って話を聞いてもらいなさい」

 

 

和尚は娘さんを見ると、終始うつむき加減で聞いていた。

 

 

「もう、いつもこうなんです。私がなにを考えてるの、なにか思っていることがあったら言いなさい、とか言ってもいつも黙ったままで、今日も来る道すがら、大学での話を聞いても頷いたりするだけで、ちゃんと話をするように言っても気のないような返事で、ほら、和尚さんに話を聞いてもらいないさい。ほら」

 

 

お母さんに急かされた娘さんは俯いていた顔を上げ、和尚と目が合うと、一生懸命の作り笑いと不安げな表情をして和尚を見たのだった。

 

 

「コントロールが子供を小さくさせるお話②」に つづく。

 

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

 

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