『§まっすぐに生きるのが一番』
「第45話:私を生きる力が幸せを創る」

 

 

哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。

 

 

前回哲也は、優花に誘われておばあちゃんが講演する話を公民館に聞きに来ていた。

 

 

そこで、体験こそが『私を生きる力を身に付け』、自分を成長させることを知り、また、自分の体験によって人生が裏付けられて生きていることを知った。

 

 

そして、時に自分のマイナスの体験やマイナスに思っていることが、人の心に寄り添い、人を救うことがあることを知った。

 

 

哲也はそんなことを思いながら、おばあちゃんの次の言葉を待ったのだった。

 

 

 

「とは言うものの、体験すればいつもいいことや嬉しいことや幸せなことばかりではありません。時に辛く悲しい体験もあります。その体験がもとで自分を小さく扱ったり、ダメな私と思い込んでしまうこともあります。

 

 

でも、その辛く悲しい体験が人の心に寄り添い、時に人を救うことを忘れないでほしいんです。

 

 

それを忘れてしまうと、人は自分を自己否定する癖がついてしまうのです。

 

 

そうならないためには、肯定することを知ってほしいんです。

 

 

みなさんは『肯定する』という意味を知っていますか?

 

 

多く『肯定する』意味は、ある出来事に同意したり、認めたりすることは知っていると思いますが、2つ目の意味があるのです。

 

 

それは、『肯定する』とは、いい事と悪い事の両方を同意したり、認めたりするということです。

 

 

この考え方は、生きていく上でとても重要となる考え方です。

 

 

なぜなら、私たち人間は、いいところも悪いところもあって、一人の人間だからです。

 

 

ですから、時に人は失敗して落ち込むことも多くあります。そのときに落ち込む心にストップをかけることが必要となってきます。

 

 

そうでなければ、どんどん落ち込んで行って、人は自己嫌悪になって、自分をダメな私と自己否定してしまうのです。

 

 

では、そのストップをかける方法とは、なんだかわかりますか?

 

 

それは、『学びと気づき』という考えを持つことです。

 

 

どんなことにも『学ぶべきこと、気づきべきこと』があるということです。

 

 

だからこんな言葉を聞いたことはありませんか?

 

 

『失敗から学ぶ』です。

 

 

この失敗から学ぶことが、自分のすべての体験を肯定することによって、人は人の心に寄り添ったり、人を救うことができる、体験と言う心の引き出しを持てるのです。

 

 

『人が人を成長させる』と言う言葉がありますが、まさに自らの体験が、人を励まし、人を勇気づけ、その人が生きることを手助けできるから、人は人を通して成長できるのだと思います。

 

 

ですから、自分を否定することよりも、自分のいいところも悪いところも肯定できる、そんな生き方が『私を生きる力』になり、人は今よりも前に進もうとし、幸せになる生き方を選んで行けると思うのです。

 

 

私はこの年になってよく思うのです。日々、人生いろんなことがあり、ときに辛く悲しい出来事もあるかもしれないけれども、その分同じぐらい楽しく幸せなことがあると思うのです。

 

 

そして、その楽しく幸せなことがあるとき、やっぱり人は幸せになるために生きているのだなーと、つくづく思うのです。

 

 

 

人は未熟だからこそ、もっと完璧な人間になりたいと思うものです。

 

 

だからこそ、自分よりも優れている人に出会うと、自分と見比べて自分をちっぽけに見てしまったりして、隣の芝生が青く見えてしまうものですが、自分より優れている人に出会うと言うことは、自分を成長させるチャンスなのです。

 

 

先ほども言いましたが、そのときにどのようにしたらそんな人になれるだろうかと、そこに『学びや気づき』を得る習慣を持っていれば、自分がまた成長できるのです。

 

 

そして、また新たなことに挑戦することは、自分が新たに体験することであり、また一つ、人のために役立てる心の引き出しが増えると言うことです。

 

 

 

人は、いいところ悪いところも持って一人の人間だと言うことです。

 

 

そして、いいところは自分が上手く行ったことですから、人に上手く行く方法を教えることができるのです。

 

 

また、悪いところは、同じように自分と苦しんでいる人への、明るい未来と言うあなたから人に上げることのできる人生の贈り物になるのです。

 

 

そのためにも、『肯定する』意味を知り、どんなことにも『学びや気づき』があると思える心の習慣を持つことが大事になって来ると言えるのです」

 

 

哲也は話を聞き終えると、隣の優花に向かって「すごい!」と言い、優花も大きくうなづいたのだった。

 

 

つづく。

 

 

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

 

 

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