「意図的に生きる生き方①」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第49話:意図的に生きる生き方①」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
前回哲也と優花は、公民館で話すおばあちゃんの話を聞き入っていた。さらに話が終り、質問の時間が設けられ、「与えたいことがやりたこと」について話してくれたのだった。
次の質問をと言うと、多くの手が挙がった。
「あらあらたくさんの手が挙がりましたね。一つひとつお答えしたいのですが、こう多いと困ってしまいますね。
えーっと、手を挙げている方はお母さん方が多いですが、お子さんのことで質問と言う方はどれぐらいいますか。あらほとんどがお子さんの質問ですね。
それではですね、子育てや子供を育てることについて、手を挙げてくださった方々の答えになるかわかりませんが、大事なお話をしたいと思います。
これは親御さんだけのお話ではなく、今日来て頂いてるみなさんにも関係ある話だと思います」
そう言って、おばあさんは、飲み物で口の渇きを潤わせてから、話をしだした。
「最近思うのですが、世の中わがままな人が増えたと言うか、自分に都合のいい身勝手な人が増えたように思うのです。
特にこの10年、急激に増えたように思うのです。
その中でやはり目に付くのが、携帯電話やスマホの普及ですよね。
今は電車に乗ると、そこら中でスマホを見ている光景を目にするのではないでしょうか。
それ自体が悪いわけではないのですが、昔、私が子育てをしている時代のというのは、丁度カラーテレビが普及し出した頃です。
子供も大人もカラーで映像が観られると言うことで、特に子供なんかはテレビに夢中になったものです。
そのときによく聞いた言葉があるのですが、『テレビばかり観ているとバカになる』という言葉です。
その時は、子供に長時間テレビを観させない口実だったと思っていたのですが、そうではなかったのです。
あの『テレビばかり観ているとバカになる』という言葉は、科学的にも根拠があったんですね。
それは、テレビから映し出される映像を見続けていると、受身的になり、ものごとを考える思考力が低下してしまうそうです。
さらにですね、思考力が低下すると想像する力も低下して、結果的に受身的な思考回路になってしまうようです。
受身的な思考回路というのは、先ほど(前回)の話の中でも言いましたが、『ちょうだいちょうだい』と、相手からなにかをもらおうとする発想になるということです。
もっと言えば、楽をしてなにかを得ようとすることです。
そうすると人間どうなるかと言いますと、横着する、サボる 、怠ける、体を動かして物事をするのを面倒くさがる不精・無精になる、そして、楽な方に流れるようになるのです」
おばあさんは、一息入れて再び話し出した。
「まだ今のことを考えると、テレビはまだまだ高価なもので、一人に一台ではなかったこともあって、テレビを観る時間を制限したりして、見る時間を調整できたのだと思います。
しかし、今は高校生以上になるとほぼ一人に一台、携帯やスマホを持っていると言われていて、それを見る頻度が昔のテレビと比にならないぐらい高くなっているのは、みなさんも周りを見れば一目瞭然だと思います。
それではじめの話に戻るのですが、世の中わがままな人が増えたと言うか、自分に都合のいい身勝手な人が増えたように思うわけです。
携帯やスマホなどに依存する度合いだけ、いつどもどこでも携帯やスマホに触れられるわけで、我慢して後でと待つこともなく、どんどん自分に都合のいい感覚になっていき、と言うより耐える気持ちが抑えられなくなるのか、こんな話もありましたね。
高校生の話で、ラインが来たらすぐに返さないと無視されたり、仲間外れにされるとか。それですぐに返事をしなければならないから、集中して勉強もできないとか、深夜遅くまでラインをしてしまうとか。
中には昼と夜が逆転して生活リズムが狂い、朝起きられず欠席も多く成績も落ち、進級できずにそのまま高校を中退したと言う話もあるようです。
みなさんのお子さんは大丈夫だと思いますが、ある大学の先生がデータを取ったところ、携帯やスマホなどの依存度と勉強の成績は、比例するという結果が出たそうです。
まずは、この視点から親御さんは、子供の携帯やスマホの依存度に気をつけてほしいと思います。
それと、私が言う話ではないですが、赤ちゃんのような乳児に、スマホを見せているお母さんを見かけたりしますが、これはとても危険なことです。
乳児期と言うのは脳が未完成で、これから脳が発達して形成される段階で、いろんなものを五感で感じながら脳を形成していきます。
その時にあやす代わりに過度にスマホを見せたり、用事をするためビデオを流したままにしたりすると、微力ながらも電磁波が出ているわけですから、その影響で子供の脳の発達が遅れたり、脳そのものに障害を持つ原因になる場合もあると報告されていますので、要注意だと思います。
さて、楽をしてなにかを得ようとすること自体は悪い事ではありません。楽になるように工夫することはとても大事なことで、それが科学の進歩につながっているわけです。
それよりも、子供だけでなく、私たち大人も携帯やスマホに依存する度合いが高くなって来ると、『テレビばかり観ているとバカになる』の言葉ではないですが、考える力や想像する力の低下や、ますます受身的な思考回路にもなり、主体的に行動することができずに、結果的に楽な方に流れることに懸念を持ちます」
そう言って、おばあさんはいつにもなく言葉を強めて話し出したのだった。
つづく。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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