物語メソッド実践編:「ありがとうの祈り」
◆心の底から自分らしく生きるメソッド(実践編)◆
「光曉和尚の愛と心のセラピー物語」
~私、自分らしく人生を生きます~
※はじめてこられた方は、
この物語の『登場人物』・『あらすじ』を 先にお読みいただければ幸いです。
§ ありがとうの祈り
前回、和尚は2週間ぶりに有里と誠と瑞枝の3人が集まり、日々の生活の中で『ありがとう』の実習について、どのような感じだったかを有里、誠と聞いていった。
瑞枝の番になり、自分は特になにも変わったことがないと言っていたが、実はとても奇跡と思えるような『ありがとう』の体験をしていたのだった。
「さて、瑞枝さんの番ですが『たいした話もないですから』と言っていましたが、どんな感じだったかを知りたいので、やってみてどうでしたか」
「毎日やってはいましたが、なにか変化があったとか、気づきがあったとか、なにもありませんでしたし、やっていてよくわからなかったです」
「『ありがとう』への意識は、有里さんや誠くんと同じように増えましたか」
「それはそうですね。『ありがとう』に対して敏感にはなってたと思います」
「瑞枝さん、この2週間でなにかいいことでもありましたか。今日はとても体が軽やかな感じがしたんで、なにかビックニュースでもあるのかと」
「そんなことぜんぜんないです。逆に、めちゃくちゃ最悪なことがあって凹みました」
「なにかよっぽどしんどいことがあったんですね。なにか伝わってきますよ」
「ほんとに久しぶりに凹みすぎて、ものすごい孤独を感じました」
「でも、今はそうでもなさそうですよね」
「なにか救われたことがあって、あっ」
瑞枝はそう言って、驚きの気づきでもあったかのように目を輝かせた。
「和尚さん、『ありがとう』が直接関係しているのかわからないんですけど、私の最低な話なんですが・・・」
「もしよかったら、聞かせてもらっていいですか」
瑞枝は躊躇したが、自分が体験したことが気になるのか話しだした。
「私、実はある人にものすごく裏切るような酷いことをしてたんです。その人を裏切るような嘘をずっとついていたんです。
あるとき、お酒も入っていたせいか、その人とのメールのやり取りでバレテしまったというか、もう言わざるを得ない状況になってしまって、私、その人に申し訳ない気持ちで隠していた嘘を伝えたんです。
そうしたらその人からメールが返って来たんですけど、メール見たらその人、怒らずにそんな私をゆるそうとするんです。
正直私、こんな最低な自分を怒ってくれた方が、罵ってくれた方がまだ気が楽になれたのに、そうされて当然だったのに、全く予想もしない返事が返ってきて。
私、その人がゆるそうとしてくれても、自分がしてきたことを考えたら、自分をゆるせるわけなんかないじゃないですか!
正直、またやってしまったって感じでものすごく凹みました。
その夜はほとんど寝れないまま朝目を覚ましたんですけど、また昨夜のことを思い出して、これでもかと最低な自分を罵って、どん底に落ちていったんです。
そうしたら急にものすごい孤独を感じて、ものすごく怖くなってきて圧し潰されそうになって、もう頭がパニックになってしまったんです。
そのとき、なぜか『ありがとう』を連呼することを思い出したんです。なにか藁をもつかむ思いで、その孤独の恐怖から逃れたい一心で、部屋にあるあらゆるものに『ありがとう、ありがとう、ありがとう』と、本当に心の底から言い続けたんです。
しばらくして、なにかが変わったわけでもなく、自分がゆるされたわけでもなく、『ありがとう』を言い続けながら泣き疲れたせいなのかどうかわからないですが、少し気持ちが落ち着いたようになってて、でも気分は凹んだままでした。
その日は運がよくて仕事は休みだったんですけども、夕方にどうしてもいかなければならない用事があって、なんとか気力を振り絞って気持ちは凹んだまま用事を済ませて、それでまた最低な自分を思い出して凹んだ気持ちで帰ってたんです。
そうしたら、もう一生会うことはないと思っていたその人に、偶然道端でバッタリ出会ったんです。私、その人の顔を見た瞬間もう頭が真っ白になってパニックになって、気がついたらその人に土下座してたんです。
でも、その人に腕を掴まれて起こされて、私その人の顔が見れなくて。そしたらその人が私に謝るんですよ。その人は全然悪くないのに私が悪いのに、その言葉を聞いたら私、胸が苦しくて張り裂けそうになって。
私気がついたら、昨日メールで伝えきれなかったことも洗いざらいの本当のことをすべてその人に話してて、ゆるされることはないのはわかっていたけれども、本当に心から何度も何度も謝罪してたんです。
そうしたらその人は、また謝りながらたくさんこんな私に優しい言葉を掛けてくれるんです。私本当にどうしたらいいのかわからなくて・・・。
それで気がついたら落ち着きを取り戻しつつある自分がいて、そしたら私、その人に『こんな私をゆるしてくれるんですか』と聞いてしまってて。この世に及んでそんなことを言った自分のバカさかげんに情けなくなって。
そしたらその人が、『謝らなくてもいいし、自分がそうさせてしまったところもあるから、そんなに謝られたら自分もつらくなる』って言うんです。
そしてその人が『ゆるします。やっと自分もゆるされた気がする』と言ったんです。私、その人の言葉を聞いた瞬間、なぜか私、私も本当にゆるされた気がしたんです。
そうしたら、私の胸につかえていたものが、スーッとなくなっていって。なにかとても不思議なことが起こった気がしました。
そのあと、しばらくその場のマンションの花壇に腰かけたまま話し込んでいたんですが、気がついたら最後は二人で大笑いしてたんです。それでその人と別れた後も、昨日から凹んで落ち込んでいたのが嘘のように、その気分のいいテンションのままの自分でしばらくいられたんです。
私、本当にその人と二度と会うことはないと思っていたから、ずっと最低な自分を引きずって、これからも生きていかなければならないと思っていたから、こんなところでという場所で偶然にもその人に会って。
でもそのおかげで私、一生ゆるされることがないと思ってたのが、本当にゆるされて。本当にその人にありがとうと心から感謝しました。
本当に奇跡のような不思議な体験だったんです。
和尚さん、あのとき本当に心の底から『ありがとう』を言い続けてたんですが、正直自分ではよくわからないんですが、これってそのこととなにか関係があったんですか」
「瑞枝ちゃん、それって『ありがとう』って祈り続けてたから奇跡を呼んだんだよ。偶然ってないって言うから、すべては必然っていうから、瑞枝ちゃんの『ありがとうの祈り』が、その奇跡を引き寄せてゆるしが起こったんだよ。すごいよ。俺感動したよ」
「和尚さん、そうなんですか」
「瑞枝さん、残念ながら正直答えはないんです。あるとすれば、この奇跡と思えるできごとが、瑞枝さんにとって真実と思えるに値するのか、自分にとって役に立つ体験だったのかどうか、それが大事だと思うんです。
瑞枝さんにとって、このことが生きる糧となる体験であったならば大事にしなさい。それがあなたにとって、とてもいいものであるのなら、自分を信じる強い心をつくる体験となるから。
瑞枝さん、あなたがゆるされたこの体験は、とても素晴らしい体験だったかもしれません。そしてもし、その体験がそう思えるのなら、このことにも気づいてください。
『あなたはあなたであっていい。そのままのあなたでいい。
なぜなら、そのあるがままのあなたがゆるされたのだから。
そして、あなたが愛されるべき人であるからこそ、その人はあなたをゆるしてくれたことも』。
瑞枝さん、自分の痛みでもある話を私たちにわかちあってくれて、本当にありがとう。私たちにとっても大きな気づきになりました。そんな瑞枝さんに、曲をプレゼントしましょう。
それは『中島みゆきの糸』という曲です」
「私、その曲大好きなんです・・・。今、その曲を聞いたら泣いてしまいます」
和尚は、『中島みゆきの糸』の曲を流したのだった。
(You Tubeの中島みゆき本人の糸は削除されていましたので、ここではミスチルのカバー曲をお聞きください)
和尚は、改めて『ありがとうの祈り』ではないが、感謝が持つ言葉では言いつくせない波動の高いすごさを実感した思いがした。
そして、瑞枝がこの体験をきっかけにして、ゆるし(過去の記憶との和解)の大切さを知り、これから自分が幸せになるステージを駆け上がっていくことを、和尚は本当に心から祈ったのだった。
つづく
次回明日10月19日(土)は、感謝がどう自分の幸せに影響していくか、
物語メソッド実践編:「感謝がつくる幸せ」をお話します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 心より感謝いたします☆
※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。
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