メソッド実践編:「互いの価値を取り戻す」
◆心の底から自分らしく生きるメソッド◆
「光曉和尚の愛と心のセラピー物語」
~私、自分らしく人生を生きます~
※はじめてこられた方は、
この物語の『登場人物』・『あらすじ』を 先にお読みいただければ幸いです。
§ 互いの価値を取り戻す
前回、瑞枝は有里に羨ましさを超えてねたみそねみを感じていたが、その本人である有里は、そんな自分を否定し、瑞枝の方こそ羨ましい存在だと言った。
和尚はそんな二人の会話を聞いて、互いに誤解し合っていることを理解し合い、互いに思っている価値を自分に取り戻す実習をしようとしたのだった。
「さてと、お二人さん立ってもらっていいですか」
和尚は畳関西間10帖ほどの部屋の縦約4.7mを使って、二人を両端に立たせた。
「これから二人が、お互いに見ている価値を受け取ってもらう実習をしていきます。
有里さんは瑞枝さんの価値を受け取りに近づいていってください。瑞枝さんは、ただそこにいて近づいてくる有里さんの価値を受け取ってください。
まずはお互い目を見合って、それぞれの価値を感じて見てください」
和尚はヒーリング音楽を流しながら、二人の意識がつながっていく状態を見ていた。
有里は、意識を集中させて気持ちが入っていくのがわかった。一方瑞枝の方は、戸惑いを隠せない状態で、役割で無理やり有里の目を見ている様子で、意識が拡散している感じだった。
和尚は、有里が自分の感情に意識を向けた状態を見て、有里にゆっくり一歩瑞枝に近づくように言った。
瑞枝は有里が一歩前に近づいたことで、相手が迫ってくる圧(エネルギー)を感じて、たじろぐように目を大きく見開いて有里を見ていた。
「瑞枝さん、今感じている感情から逃げないで、有里さんの目を見たままただ感じてください」
瑞枝は、なにが起こっているのか頭が混乱しながら有里のエネルギーを感じていた。
「有里さん心の準備ができたら、また一歩近づいてください。そしてもう一歩、さらにもう一歩自分のペースでゆっくりと進んでください」
有里はゆっくりと、そうして三歩瑞枝に近づいた。二人の距離は約2mのところまで近づいた。
瑞枝は有里が一歩近づく度に、胃が縮み持ち上がるように怖れを感じた。そしてどんどん体が緊張で強張っていくのを感じていたが、気づいたときにはそんな意識も吹っ飛んで、目の前にいる真剣な有里の目を見てただただ怖れを感じた。
「瑞枝さん、目の前にいる有里さんの価値をみてください。その価値は、有里さんがあなたに与えに来たものです。そして、有里さんも瑞枝さん、あなたの価値を見ているのがわかりますか」
瑞枝は和尚の言葉を聞いて、恐怖がどんどん強くなり、胃が締め付けられ今にも口からでそうに感じた。
そして、和尚の「有里さん、小さく一歩前に進んでください」という言葉を聞いて、そして有里が小さく一歩近づくのを見て、胸が張り裂けそうに恐怖で一杯になった。
瑞枝は、『もうこれ以上耐えられない、もうこれ以上近づかないで』と思った。もう胸が張り裂けそうで、怖くて胃も飛び出してしまいそうだった。
そして和尚の「もう半歩前に」という言葉を聞いて、叫んでいた。
「もうそれ以上来ないで!それ以上来ないでください」といって背中の壁にへばり付き、瑞枝は恐怖に怯える目で有里に言った。その距離は1mを切っていた。
有里は瑞枝のその言葉を呑み込むかのように、その場で固まった。
「瑞枝さん怖いですよね。逃げ出したいですよね。ずっと自分は価値がない人間だからといって、受け取るに値しない人間だといって、こうやってずっと価値を受け取らないで来たんですよ。これからもずっとこのまま逃げ続けますか」
「いや、いや来ないで!これ以上来ないで!いや、いやー、アタシはそんな人間じゃない、そんないい人間じゃない、だから、だから来ないで!来ないでー!!」と言って、瑞枝は恐怖に押し潰されるような必死の形相で拒み続けた。
「有里さん、あなたの目の前にいる女性は、価値を受け取るに値しない人ですか」
有里はそれを聞いて首を左右に振った。
「有里さん、気づいてくださいね。目の前にいる女性は、あなたの中にいる自分自身でもあるんですよ。彼女があなた自身を見せてくれているのがわかりますか」
有里は和尚の言葉を聞いて、悲しみの感情を噴きだした。
瑞枝は恐怖におののきながら、なにが起こっているのか理解できないまま有里を見ていた。
「有里さん、目の前のあなた自身を瑞枝さんを見てください。
恐怖に怯えきっている目の前にいるあなたを瑞枝さんをこのままにしますか。あなたが今まで罰してきた見ぬ振りをしてきたこの状態を、また見殺しにするんですか。今、有里さん、あなたの愛を必要としているのがわかりますか。
あなたの愛で、瑞枝さんをあなた自身を、包み込んであげてくれますか。苦しみを乗り越えてきた今の有里さん、あなたにならできます。近づいていって抱きしめてあげてくますか」
有里は涙で濡れた顔で頷き、そして近づいていった。
「来ないで!来ないでって言ってるでしょ!!来ないで!それ以上来ないで!!」といって瑞枝は壁伝いに逃げ、
そして部屋の角で身動きが取れなくなり「来ないでー!!」と叫ぶと、頭を抱えて泣き崩れた。
有里は近づきひざまずいて瑞枝を抱きしめようすると、瑞枝は両手両足をバタつかせて「来ないで!」といいながら激しく抵抗した。
有里は瑞枝にたたかれ蹴られながらもその手や足を払いのけ、そして泣きながら瑞枝を引き寄せると強く抱きしめた。
瑞枝もはじめこそ抵抗していたが手の力が抜けていき、そしてその手は有里に抱き付くようにして号泣したのだった。
有里は泣きながら何度も『ごめんね、ごめんね』と、今まで自分を責め罰してきた自分自身に謝るように言い、その言葉を聞いた瑞枝は、さらに声を上げて号泣したのだった。
つづく
次回明日11月4日(月)は、
メソッド実践編:「コーヒーブレイク」をお話します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 心より感謝いたします☆
※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。
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