「自ら活動的に学ぶ大切さ」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第74話:自ら活動的に学ぶ大切さ」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
前回は、先の見えない将来の不安などは、どうしても先を見てしまうと気が失せってしまうもの。
だけど目の前のすべきことに懸命に取り組んでいると、集中力も高まり、未来に対する明確な答えが見えてくるから、今やるべきことをやることが大切だと。
今回は自ら活動的に学ぶ大切さを、哲也と優花は運転を代わるために立ち寄ったコンビニで、何気ない会話の中で話していた。
「やっぱり私はこっちの方が性に合っているかな」
優花は哲也と運転を代わり、助手席に座りながらスマホをいじっていた。
「俺も運転は嫌いじゃないから、ハンドル握ってる方がいいかな」
「じゃこれからは運転哲也に任せようかな。見て、面白い絵があるわよ」
優花はスマホで見ていた絵を、哲也に見せた。
「なにこれ、なんの絵?」
「中世ナポリのフェデリーコ二世大学の授業風景だって。この絵を見ると、何百年前も今の日本の大学の授業風景も変わらないんだって」
「なるほどね。講義型の授業風景は、今も大学では主だよな」
「それもそうなんだけど、そうじゃなくて“授業態度”だって」
「授業態度?」
「三つぐらいあるみたいだけど、哲也わかる?」
「うん、三つね」
「あっこれよね。へー笑えるね。ほんと昔も今も変わらないわね」
「あっこれか。なるほど笑えるな」
「右上の方の女性は、おしゃべりしてるわね。その下の男性は、横を向いて完全に寝る体制になってるよね。その前の男性は、ボーっとしたまま前を向いて教科書かノートみたいなものも持ってないわね」
「ハハハ、大学時代講義の授業ではよくみかけたな。優花は前列の真ん中に座ってる女性だよな」
「そんな優等生じゃないわよ。それに一番前になんか座る勇気なかったし。哲也は前のボーっとしてる男性だったりして。よく考えることが好きみたいだし」
「まああれに近いけど、後ろの方の席でね」
「講義型の授業って知識を習うにはいいけど、興味がないものには集中力が続かないわよね。どうしても受身的になるし。
そう言えば、最近はアクティブラーニングといって、高校生、大学生、社会人、企業研修など、参加者中心型の学習手法が多くなってるみたいね」
「能動的な学習って呼ばれてるやつだよね」
「一般的にはバディワークやグループワークのような形ね。元々はゼミや演習などでやるケースメソッドらしいけど、自ら主体性を持って考え力を養うためのものだったみたい。
だけど、大学で自ら主体性を持って考える力が低下してきたことで、高校まで広がって、今では小学校でもこのアクティブラーニングが取り入れられているんじゃないかしら」
「ゲームやインターネットが登場して、本を読まなくなって活字離れもするようになって、考える力や想像する力が落ちてるって言われてるからな。
それに講義型の授業は“聴覚”が基本だけど、今は写真や映像など“視覚”で情報を得ることが多くなったから、聴覚中心の授業では考えたり想像したりする力がないと、学習効果も上がりにくくなっているのかもしれないな。
て言うか、なにかのデータで、スマホやラインなどに依存する傾向が強い中高校生の成績は、そうでない中高校生と比べると低くなってた。
つまりそれって、視覚中心になって聴覚する力が劣ってくるから、講義型の授業ではよっぽど先生の話し方が興味を引かないと、集中できなくなってくるんじゃない?」
「そうね、それも一理あるかもね。聞いたことを自ら考えたり想像したりすることって、自分に意識が向かうけど、目で見えることって外に自分の意識が向いて情報を取るから、そんなによく考えたり想像したりしなくていいかもね。
そうなると自ら考えたり想像して、それを確かめるために積極的に活動的に学ばなくてもいいから、それって興味あることにしか関心を移さなくなってくるんじゃない?
つまり、ものごとを好きか嫌いか、楽しい楽しくない、興味があるない、面白い面白くない、もっと言うと心に響くか響かないと言った感覚でものごとを判断したり、行動するようになるんじゃない?
自ら活動的に学ぶことって主体的に体験することだから、嫌なこともあるし、失敗することもあるわけよね。
そうやって人は成長していくものだと思うんだけど、哲也のところの人事担当者が言っていた、人と関わりがないこと以上に、自分勝手にものごとを判断する若者が増えてるってことよね」
「そういう若者とそうでない若者が二極化してるってことか」
モノを所有する時代から、心を豊かにする時代になってきたからこそ、自ら活動的に学ぶことが大切になってくる。
それは、自分と向き合いながら、自らが主体的に、自分を律した生き方が求められてくると言える。
なぜなら、心を豊かにする時代とは、愛と感謝と思いやりつながりに満ちた世の中を創り出すことであり、自ら創り出さずに外に求めてばかりいる限り、創り出せないのだから。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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