「今やるべきことをやる」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第73話:今やるべきことをやる」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
前回は、哲也が人事担当者の話しとして、最近の学生は挨拶ができなくなっている。その原因の傾向として、人と関わることをしてこなかったところにあるらしいという話を優花にしたのだった。
ドライブ中の二人。今回は就職活動を本格的にはじめている大学3年生の話をしながらも、気がつけば二人にとって気づきとなったようである。
「今の大学新卒の就職活動って、3月解禁で企業説明会がはじまり、6月から企業の面接開始で内定(内々定)なんだって。
確か就職・採用活動に関する企業(日本経団連)の「倫理憲章」と大学の「申合せ」だったかな。
2年前は確か、3年生の12月企業説明会解禁で、3月から面接開始、ゴールデンウィーク前後に内定(内々定)が出てたみたい。
趣旨は、就職・採用活動が早期化することなく、学生が本分の学修ができる環境を確保して、適切に職業を選択できるようすることらしいけど。
でも、日本経団連に加盟していない企業は、その申し合わせに捉われないから、外資系企業を筆頭に前倒しで企業説明会や面接をして、6月を待たずに早々に内定を出したらしい。
その泡を食ったのが日本経団連に加盟している企業。かなり外資系や中堅優良企業にいい人材を持って行かれたらしいよ。
そんなことがあってか、ここ2年、3年生の夏休みにインターンシップの名のもと、企業は学生にアプローチし、いい人材確保にやっきになっているらしい。
すでに1月末時点で3年生に内定(内々定)を出した企業もあるとか。
本格的にはじまるのは3月かららしいけど、もう企業説明会と面接、内定(内々定)が混在しながら、日本経団連に加盟している大企業と言われる企業も、6月の面接開始を待たずに5月末には内定(内々定)出すところもあるようで、6月の面接開始は実質の最終面接なんだって。
そうなる要因は、学生の就職活動が売り手市場(企業が学生採用に意欲的)だからなんだけどね」
「そうね、私たちの時代は就職氷河期と言われた買い手市場(企業が学生採用を抑制)だったから、今の学生の就職活動はバブル期の頃みたいだって言われてるわね」
「でさ、その人事担当者と話を聞いたんだけど、大学のキャリアやその就職情報サイトの担当者と話をしていると、今年春に卒業する学生があまり苦労しないで内定を取れたから、今の3年生全体をみると楽観視しているのか、就職活動の準備段階からの動きが遅い学生が多いんだって」
「まーそうなる気持ちもわからなくではないけど」
「それで人事担当者が言ってたんだけど、バブル期のときは、まだ学生の意識が大学を卒業すると社会で自立しなきゃとか、働いてお金を稼がないと、みたいな風潮がどこかで強くあったらしい。
だけど、今の学生の風潮は、なにがやりたいかわからないと言って、不安だけを募らせて就職活動の準備を先送りにしている学生が増えているらしい。
まーどこかでなんとかなるって言う気持ちがあるからかもしれないけど。
それがさっき(前回)話した、就職活動に意欲的な学生とそうでない学生とが二極化しているところにつながるのかもしれないけど」
「そうね。おばあちゃんが言ってんだけど、将来のことを考えると多かれ少なかれ誰もが不安に思うもんなんだって。
将来ってなんか先の見えない上りの坂道みたいなもんじゃない。だから見えない先をみてると気持ちが失せるから、そんなときは足元をみて一歩一歩前に進んでいると、気がつけば頂上に辿り着ける。
人は目の前のことをなおざりにしがちになるから、目の前のすべきことに懸命に取り組むことが大事だって言ってた」
「さすが優花のおばあちゃん。なんか目標を見つけにくい時代だから、学生だけに限らず将来が見えにくくて不安になりがちだもんね。
不安って考えれば考えるほど不安になるから、気がつけばやる気がなくなってる。
やらなきゃ、変わらなきゃって、わかってるんだけど・・・ね」
「今の時代って、私たちも結構自由で、せっぱ詰まって生きなきゃならないって感じじゃないから、ついつい楽な方へ気持ちも流れがちになるのかもね。
あっ、それでおばあちゃん言ってた。
そんなことを思いながらも、『今やるべきことをやる』って。
そういう心の習慣を持っていないと、仕事でもやるべきことを先延ばしにして、結局あとになって残した仕事が余計な仕事となって苦労することになるから、今できることをやって、心に余裕を持てる習慣を持つようにしなさいって。
ところで、哲也は私に今やるべきことってあると思うんだけど」
「えっ、優花に今やるべきこと?」
「そう」
「えっと・・・」
「あー運転してるとなんか肩が凝ってきちゃったかな」
「あっそういうことね」
「どこかコンビニで止まろうか」
「もうそうじゃなわよ。そろそろ運転交代の時間」
「ああ優花に今やるべきことね。じゃ俺は?」
「哲也は優秀だから今までどおりで大丈夫」
哲也は“優秀”と言う言葉に自尊心をくすぐられて気をよくしたせいか、このあと気持ちよくハンドルを握っていたのだった。
先の見えない将来の不安などは、どうしても先を見てしますと気が失せってしまうもの。
だけど目の前のすべきことに懸命に取り組んでいると、集中力も高まり、未来に対する明確な答えが見てくるのかもしれません。
千里の道も一歩から。歩かなければ見えるものも見えないと言うことですね。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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