物語メソッド実践編:「それができたら悟ってるわ」
◆心の底から自分らしく生きるメソッド(実践編)◆
「光曉和尚の愛と心のセラピー物語」
~私、自分らしく人生を生きます~
§ それができたら悟ってるわ
前回、瑞枝はこの場にいるのがふさわしくないと思って帰ろうとしたのだったが、もう一人のモニターの有里に引き止められ、有里の本音トークによって瑞枝は思い留まったのだった。
和尚は、有里の瑞枝へのやり取りの凄さに感心して見ていた。それと同時に和尚は、有里にかなりの信頼を置いていただけに、有里の思わぬ本音を聞いて苦笑いを隠せずにはいられなかった。
和尚は『まあ、世の中こんなものかな』と気合を入れ直して、三人の前に向き合った。
「はじめの時とは比べ物にならないぐらい、三人の意識がぐっと近づいて互いの仲間意識が高まった感じがしますね。この場の空気も全然違っていますよ。本当に『人っていいな~』と、思える素晴らしいものを見せてもらいました。
さて、これからみなさんには、ここに来る前に課題を出していた、『ありがとうという感謝の日記帳』を、朝晩、トイレの時に『ありがとう』を5つ思ってもらうことをお願いしました。
直接私がみなさんに、どんな感じだったか聞いてもいいのですが、せっかくいいチームができたので、みなさんでどんな感じだったかをシェアー(分かちあう)し合ってください。それではどうぞチームで」
さっそく有里がリードを取って、シェアーを始めた。有里は、なにかふっきれて仲間との気心を分かち合えて、和尚には見せたことのない目立ちたがり屋の部分を発揮し生き生きとしていた。
「私ね、和尚さんに言われて、その日の寝る前に5つ考えたんやけど、正直出てけえへんかってん。和尚さんが何でもいいって『ご飯を食べれてありがとう』って、ほんまにそんなことぐらいしか出てこなくて、気がついたら寝てて。
次の日、仕事行ってトイレでまた思い出してんけど、なんかトイレまで来て考えるのが嫌になって、けっこうさぼっててん。真面目にやり出したん、今日聞かれたら困るって思って、おとといの寝るときぐらいやねん」
「それ、わかります。私も和尚さんに言われた夜、やってみたら5つも出てこなくて、感謝も出てこないのかと、ほんま自分腐ってるわと思ったんですよ」
「そうなん、私だけとちゃうかったんや。それでも瑞枝ちゃん真面目やから、結構やり続けてたんとちゃうのん」
「いえいえ、私も有里さんと同じようなもんですよ。ほとんど忘れて、思い出しても1つが限界でした」
「偉いやん、1つでもやってたら立派やん」
「いやそんなんちゃうんですよ。ほんまに適当ですから」
「なんかやってて変わった?」
「う~ん、特に別にって感じですね」
「そうなん、ほんまに効果あるんかな」
「私もその辺よくわからないんです」
「ありがとうって、みんなもってるもんやし、思ったときにできてるわけやからそれでいい感じがするねんけど」
「それに思い出すたびに、5つも出てこないからへんなプレッシャー感じてて」
「それってしんどいな、なんかやらされてる感があって」
「やってて、けっこう難しいですよね。5つ思い出すのって」
「そうやねん、私おとといの夜からやけど、めっちゃ適当。ほんま『ご飯を食べれてありがとう』とか『これから寝れてありがとう』とか、あとなんやったかな、思い出されへんぐらい適当やわ」
「そうですよね、そんな感じでしか浮かばないですよね。それに感謝と気持ちがついていかないことも多くて」
「やっぱり瑞枝ちゃん真面目やな。私気持ちなんか考えたことないで。ただ言ってるだけやで。私ら、偉いお坊さんや牧師とかと違うから、毎日毎日そんな気持ちになることなんかムリムリ。私ら凡人やから、そんなんできたら悟ってるわ」
「そうですよね!なんか有里さんの話聞けてほっとしました」
「無理したらしんどいだけやから、とりあえず言うことが大事みたいやから。そうや、昨日なんか『とりあえずありがとう』って寝たわ」
「えっ!そうなんですか。そんなんでもいいんですか」
「まあ、ここだけの話しやけど、ほんまに昨日でえへんかってん。眠気の方が勝ってたし。やっぱりありがとうもいいけど、女性のお肌には少しでも睡眠やん」
瑞枝は有里の言葉を聞いてほっとしたのと同時に、これだけはっきりものが言いたいと思った。
和尚は、有里の話術の巧みさに感心しながらも二人の話を聞いていると、算数嫌いな子に算数の宿題を出して、算数の授業が始まる前に『宿題やった?ようわかれへんから適当』という会話を聞いているような、人選を間違えたかな、と思いそうになった。
和尚は、あえて心を勉強したことのある人を選ばなかった。一度でも心を勉強している人は、興味が湧けば自分と向きあることに抵抗がなく、こちらの意図も理解できる基盤があるので、スムーズにセッションが進むことが容易に想像できたし、効果も予測できたから。
和尚が目指すは、例えるなら、親鸞聖人のように一部の貴族階級の人たちだけではない『誰もが極楽浄土を目指せる南無阿弥陀仏』のような、『誰もが幸せになるために生まれてきた』ことを、この現実の日常でもっと当たり前になることだった。
なぜなら、
今の世の中が便利になって、一番困っているのが、実は人間なのだから。
これから、この現実の物質的価値観と精神的価値観とを統合していく生き方をしていかないと、本当にもっと生きにくい世の中になってしまうと、強く思ったからだった。
和尚はそんなことを思いながら、
『そう言えば、自分が求めるところも言うなれば【人としての生きる原動力を取り戻す】という、本来人が当たり前に持っていることを取り戻すことであり、彼女たちが言う当たり前の普通に幸せになりたいと思うマインドと同じことなのか』と、
今この二人が見せてくれていることは、まさに自分がこれからしようとする心の反映だと気づいたのだった。
和尚は、三人のチームをみて言った。
「誠くん、有里さんと瑞枝さん二人だけの喫茶店と化してるよ」
つづく
次回、明日10月4日(金)は、すっかり場は有里のペースになり、
物語メソッド実践編:「瑞枝、たじたじ」をお話します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 心より感謝いたします☆
※この物語の後半は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。
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