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心の底から自分らしく生きるメソッド(実践編)◆

「光曉和尚の愛と心のセラピー物語」

~私、自分らしく人生を生きます~

 

§ わかっているけどできない理由

 

前回、和尚は、瑞枝の口癖である“でも”を“Yes, but”を使った方がいいという話から、新しいことに慣れるまで、抵抗して気持ちがついてこない心について話し出したが、瑞枝が思っているのはそうではなく、和尚との心のすれ違いが起こっていたのだった。

 

瑞枝は和尚の話に、

『結局は人の心なんてわからないし、今私が思ってることもわかるわけはないのだから、人の心なんて永遠に理解し合えることなんかない』と思っていた。

 

和尚は、一呼吸入れると話し続けた。

「この思考と心の不一致みたいなものが、“手間が掛る”感覚になるのかもしれません。

私たちはエスカレータのように、大阪の人が、大阪では左側に立っていたのが東京では右側に立つことになり、そのとき、なにかとても居心地が悪いような違和感を覚えませんか。慣れればどうってことないのですが、慣れるまで毎日なにか居心地が悪いですよね。

 

先ほど(前回)の“Yes, but”でも言った、まず“Yes”と言った方が、相手も受け入れてもらえた感じがすると言いました。また、人とのコミュニケーションをする上でも役立つといいましたが、実際使ってみるとなにか違和感を覚えると思うんですね。

それが、瑞枝さんが言う『気持ちと言葉がついていかない』という感じなのだと思うのです。

 

そのような意味では、“ありがとう”と5つ言うことも、気持ちと言葉がついてこないこともあったかもしれないですし、今まで“ありがとう”を意識して考える習慣もなかったですから、とても毎日違和感を覚えながらしていたのではないでしょうか」

 

瑞枝は『そんな違和感を覚えるとかのレベルまでいけてないし。私はそれ以前の“Yes”と思えないことが問題やし。確かに習慣じゃなかったから違和感を覚えてたかもしれないけど、私はそれ以前に“ありがとう”も浮かばないし、そんな自分に凹むし、なにかしんどくなるのよ』と、思っていた。

 

一方、有里と誠は、和尚の話を興味深く聞いていて、和尚もその二人の反応に乗せられるような形で話しは進んでいった。

 

「そう思いながらやると、特に日々の生活や命に直接関わるものではないですから、どうしても優先順位も下位になってしまい、ついつい忘れてしまったり、やる気が起こらなかったりしたのではないでしょうか。私もそうでしたから、とてもその気持ちがよくわかります。

 

では、なぜできないのでしょうか。

そこには、二つ理由が考えられます。

一つは、自分のパターンをつくっている思考の観念があること。

そしてもう一つが、それをやる必要性、言い換えれば目的が明確でないからです。

 

自分のパターンをつくっている思考の観念については、後日たっぷり「メソッドの心の五本の矢」の言葉つかって、変容していきます。

 

その前に、それをやる必要性、言い換えれば目的が明確でないことについてお話しておきたいと思います。

 

先ほどのエスカレータも左右どちらでもよければ、そんなことを考える必要はありません。エスカレータの場合は、生活する上では必要性を感じるから大阪の左側ではなく、右側に立つようにするわけですよね。

 

瑞枝さんの口癖である“でも”の習慣も同じですが、どうやら私たちがなにか新しいことをするためには、その必要性や目的と言ったやる明確な理由が必要となってくるようです。

裏を返せば、日常に差し迫った必要性や目的の理由が明確でなかったら、意識してまでやらないというわけです。

 

これは、人生の目的にも同じことが当てはまりますよね。

今、特に差し迫って人生の目的を見つけて生きなければならない情況でもなければ、大切だとどこかで思っていても、瑞枝さんが言ってくれた「手間が掛る」ということは、きれいで芳しいお花になりたいと思っていても、面倒なことに思えてしまうのです。

 

どうやら、自分が主体的となって自分を律する生き方をするときに、この理屈を体験的に知っておくことが、幸せになることも人生の目的を知って生きることをも、ぐっと引き寄せてくるのです。

 

なぜなら、自分が主体的になるということは、自ら選択して生きる生き方が増えますので、このことを知ることは、思考で捉える生き方の指針のような役目を果たすからです。

 

というわけで、有里さんにも少し休息が必要と思いますから、長めの休憩のあと、“ありがとう”を習慣づける必要性とその大切な目的を明確にして、ぜひ、自分のいい習慣にしてもらえるようにお話をしたいと思います」

 

瑞枝は、ほっと一息ついた。瑞枝は、和尚との心の掛け違いで違和感を覚えて、和尚の話していることが頭に入ってこなくなり、それは瑞枝に話を難しく聞こえさせていたのだった。瑞枝は、ふとこのまま自分はなにも変わらないまま終わってしまうのではないかと、そんな考えが一瞬頭をよぎったのだった。

 

つづく

次回明日10月10日(木)は、休憩中の些細な会話から、

物語メソッド実践編:「あらぬ方向に」をお話します。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。 心より感謝いたします☆

 

※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。

 

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