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◆心の底から自分らしく生きるメソッド(実践編)◆

「光曉和尚の愛と心のセラピー物語」

~私、自分らしく人生を生きます~

 

§ あらぬ方向に

 

前回、瑞枝は和尚の話すことと自分の思いが違うことで、違和感を覚えていたが、その心の掛け違いの溝はどんどん広がっていくようだった。和尚は瑞枝がそんなことを考えているなど知る由もなかったので、瑞枝の気持ちとは裏腹に、和尚は順調に話を進めていったのだった。

 

和尚は休憩に入ると、緊張していたのか、場がリラックスムードになったと思った。特に有里は感情を出したので脱力していたが、その顔はとてもすっきりしていた。誠は相変わらずマイペースでゆったりした動作で、可もなく不可もない感じだった。

 

和尚は瑞枝をみると、今までなにもなかったような感じの表情に思えた。

和尚は、『まあ、これが友達といるときや仕事の同僚と一緒にいるときの瑞枝なのだろう。そう言えば、瑞枝がはじめてこのお寺に来たとき、同僚の優衣を連れてきたとき(「セラピー物語序編の初回」)もこんな感じだったな。そのときは瑞枝がマイナス思考だとか、自分のことをこんなに嫌っているとかはわからなかったな』と、思った。

 

和尚は手洗いからもどってくると、有里と瑞枝が楽しそうに話していた。

有里はさっきまでの自分を茶化すようなテンションではなくて、女性らしい本当にいい感じに見えた。瑞枝も楽しそうに、それだけ見ていると繊細さは感じられるものの、マイナス思考で、自分のことをこんなに嫌っているとは、話をするとわかるのかもしれないが、その笑顔からは想像しにくかった。

 

和尚は瑞枝もいい感じで感情を出していたので、『もう少し柔らかな表情になってもいいのに、感情を閉じたような感じになって』と思っていた。

 

和尚は今どんな感じか聞くために、有里と瑞枝が話しているところに近寄っていった。

「どんな感じ?瑞枝さんは」

「そうですね。まだよくわかってない感じですかね」

「気分はどう?感情を出していたみたいだけども」

「そうですね。あんまり」

「やっぱり、人前で泣いたことは嫌な感じ?」

「嫌ですね」

和尚は、このときなぜか突っ込んで聞きたくなった。

 

「同情してもらいたいと思われている感じがして?」

「・・・・・・」

瑞枝はなにも言わず和尚を睨んでいた。そして口を開いた。

 

「所詮、人の気持ちなんてわからないじゃないですか」

「なんでそう思うの?人前で泣くと同情されている気がする?」

「相手のことは所詮自分でしかわからないじゃないですか。こちらは相手のことをわかろうとしても、結局はわからないまま最後は相手が自分で納得して、それって同情してほしいってことでしょう」

「瑞枝さんも人前で泣いたときは、同情してほしいから泣いてた・・・」

 

「違いますけど、結局は同情を買ってるんですよ。泣いてもみんないろんなこと言ってくれますけど、だれも本当の私の心なんかわからないし、相手もわからないから結局は泣いてる私がわかいそうだからと同情してくれてるだけで、そんなふうに同情される自分も嫌になって、だからもう人前では泣くのは嫌なんです!

人に相談されても、所詮は相手のことなんてわからないのに、相談乗ってるふりして同情してるだけで。私、酷いでしょう!偽善もいいとこでしょう!最低でしょう!

所詮私の心のこともわからないのに、いろいろ知ったようなことを言われても、信頼しろと言われても、私のことをわからないのに何を根拠にその言葉を信じたらいいんですか」

「無理しなくてそのままでいいよ」と、誠が言った。

 

瑞枝は、怒った目をして誠を睨みながら、和尚に言った。

「私は、こんな自分が本当に嫌でしんどくて苦しくてもうやめたいんです。でも、幸せになりたいと思っていても、心の中では幸せになんかなれないと思ってるし、人生で幸せになれるなんか一度も思ったことはないし、本当はそれが自分の運命だと思ってるんです!

 

和尚さんは、なんで私が幸せになれるとか、苦労した分今度は幸せになる番だとか言うんですか。こんななにもない最低な人間の、私のどこをみてそんなことを言ってるんですか。

私はその和尚さんがいう言葉が不思議です。どこかで上手く利用されてるんじゃないかとか、騙されてるんじゃないかとか、正直和尚さんを信じていない私がいます」

 

つづく

次回明日10月11日(金)は、瑞枝の心の内の思いに、

物語メソッド実践編:「和尚の真実の心」をお話します。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。 心より感謝いたします☆

※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。

 

 

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