「奉仕する心を育む」
『§まっすぐに生きるのが一番』
「第67話:奉仕する心を育む」
哲也が意図しないまま「殺し文句」を言った瞬間から、哲也と優花はお互いを認め合った唯一の存在として、恋人同士の関係になった二人の物語。
前回まで優花のおばあちゃんは、働くことは奉仕することであり、与えることだと言った。
そして、与えることは自分らしく生きることにもなると言った。
哲也はそれを聞き、私たちの最も基本的な成功の秘訣、最も有用な行動基準、そして最も生産的な方針。
それはおそらく一つの簡潔な言葉に集約することができると思った。
『生きるとはすなわち与えること』と。
おばあちゃんは、また静かに話し出した。
「奉仕することは与えること。そうは言ってもなかなか素直にできていない世の中を見ていると、寂しくなるわね。
あれはいつだったかしら。そうそう今年と同じ12月17日が日曜日だった。
ある会社でね、12月17日の日曜日にクリスマスイベントがあったの。
近隣の家族が参加して子供たちは大喜びだったわ。そのイベントを手伝っている大学生もいてね。大学生の人たちは頭にサンタの帽子を被って、子供たちを大いに喜ばせていたわ。
2メートルぐらいあるクリスマスツリーもあって、きれいに飾られていて、そのツリーがさらにそのイベントに花を添えていてね。
そうして、イベントは大成功に終わったのよ。
それで大学生の人たちやイベントを企画した会社の人たちが、後片付けをしていたのね。
それで、イベントを企画した責任者らしき女性が、2メートルもあるあのクリスマスツリーを片づけ始めたの。
クリスマスは来週なんだけどね。
それで近くにいたお父さんらしき人がその女性に、『クリスマスツリー片づけるんですか。来週まで置いておいたらいいのに』
するとその女性は『だれが片づけるんですか』と言ったのね。
その言葉にびっくりしちゃってね。
この会社は、日頃から子供たちも目にする場所にあって、外からそれを見ているだけでもクリスマス気分が味わえたんだけどね。
確かに会社は、土曜日曜は休みだけども、そのあとに片づけたらと思ったんだけどね。
結局、そのイベントのために前日にクリスマスツリーを飾り、次の日のイベントでクリスマスツリーは片づけられたんだけどね。
見るからにその場を仕切っていた女性だったけど、誰のためのクリスマスイベントだったのかなって、思っちゃってね。
確かにいろいろ会社の都合はあるかもしれないし、ひょっとしたら忙しくて後片付けをしてくれる人がいないのかもしれないわね。
でも、何人か集まれば30分も掛らないものだったんだけどね。
その女性を責めるつもりはないんだけど、なんか段取りでやってあげている感のあるクリスマスイベントだったと思うと、がっかりしちゃってね。
もう少し来てくれた人の喜んでる顔に自分の気持ちが行っていたら、違っていたのかもしれないわね。
きっとその女性は、なにごともなく無事に終わらせることが、このイベントの目的になってしまっていたのかもしれないね。
準備する人たちの大変さもわかるけど、このイベントをしてよかったなって思う気持ちがないと、仕事の延長線上になってしまうんだろうね。
奉仕する心は、誰かに言われてするもんではないわよね。
自分の中にある欲求とでも言うのかしら、人を喜ばせたい、人に喜んでもらいたい、人の笑顔が見たい、人の役に立ちたいって気持ちが湧くことなのよね。
それだけ人とのふれあう心がなくなっているのか、いろんなことがあたり前になっているのか。
人を思いやれる気持ちや、人とのつながりの中で自分たちが、自分たちの仕事もなり立っているようなありがたみを思う気持ちも忘れられているのかね。
なんかどんどん世の中は技術が進歩し、簡単に便利で効率的になったりして、暮らしもらくになってきているけれども、
人の気持ちを感じる五感、六感と言う大切な感性はどんどん感じなくなり、忘れさられていく世に中になるのかね。
なんか寂しい時代になってきたね」
哲也は、今となっては優花のおばあちゃんの言うことがよくわかった。
優花と出会うまでは、人との関わりも少なく、仕事中心で淡々と生きていた自分がいた。
いや自分なりに自分らしく生きていると思っていた。
その時の自分が今のおばあちゃんの話を聞いたら、そんなことどうでもいいじゃんと、年寄臭い話に聞こえたかもしれない。
人との関わりがあまりないと、ふれあう機会が希薄していると、感じる心も鈍くなっていくのかもしれない。
自分にだけ都合のいいように生きていた自分がいたことを思い出し、
哲也は『奉仕することは与えることで、自分らしく生きることにつながる』ことを、
おばあちゃんの言葉を聞いて、改めて奉仕する心を育むことを自分の心に刻んだのだった。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
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