「すべては身を任すしか」

 

「とんでもない一言」をいったその夜、彼女からメールが来なかった。そのことは、余計に私の心を不安と自己嫌悪にさせた。

 

でも、私がいった一言で、彼女がへそを曲げたような極度の気まずい雰囲気にはならかったように思う。ただ、ほとんどその後の記憶を思い出せないだけに、どこまでが真実かわからない。

 

彼女にメールする言葉すら浮かばない。謝るのも変な感じがして、そうこうしているうちに日付が変わり、こんな夜分にはもうメールは失礼だと自分に思い込ませて、私は彼女にメールをするのを諦めた。

 

 

当然寝つけるはずもなかった。でも、このまま朝までうだうだとしてしまいそうな自分がいたので、自分が創り出した感情だから自分と向き合うしかないと、不安と自己嫌悪の怖れを感じながらその感情を処理して、とりあえず平常心の自分に戻した。

 

そうなると、今度は思考が働き、彼女との状況分析が始まった。

 

 

彼女への「とんでもない一言」は、自分がのぼせ上って彼女を美化し理想化していたことへの、頭を冷やせというメッセージだったことに気づいた。

 

そのことに気づき、ある意味ようやく私は彼女と同じプラットホームに立てたのかもしれないと思った。

 

 

さて、これからどうしたものかと考えていると、私はふと彼女との会話を思い出した。

 

それは私が彼女に「なんかこれからしたいこととかあるん?」と聞いたことがあった。そのとき彼女が「なにがしたいかわからへん」と言ったことを思い出した。

 

彼女がその言葉をいったとき、確か彼女の声のトーンがさがりその言葉には将来への不安を感じさせるかのような言い方だった。

 

それを考えていると、私は直感的に思った。

 

『彼女は、結婚というよりも自分がしたいことをして、その延長線上に結婚があるのではないか。

 

そのような意味では、私が仕事を辞めて、これから自分らしく生きるためにいろいろと夢を熱く語っていることに、彼女が共鳴していたのではなか。

 

彼女は、今の仕事を生活の維持をするために必要で働いていて、できたら自分の好きなことが見つかれば辞めたいと思っているのではないか。

 

あるいはやりたいことが見つかって、生活を気にしないでもいい魅力ある人と結婚することを望んでいるのではないか。』と、彼女との今までの会話からすると、どちらかと言えば後者のように私には思えた。

 

 

私は、そのとき何か腑に落ちた。

 

『いつのまにか、彼女を自分の都合よく美化して、その彼女が俺を幸せにしてくれると妄想しまくりだったわ。そうや、これからはもっと地に足を着かせて、彼女とはソウルメイトとして、お互いが成長しあえる存在として関わっていこう』と思った。

 

こうして立ち直りが早く済んだ私は、ようやく深い眠りへと就くことができたのだった。

 

※「ソウルメイトとは」についての説明は、

オフィシャルブログの「理想のパートナー」 を参照ください。

 

 

次回6月25日(火)「彼女に書いた創作物語」へ続く。

 

 

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