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◆心の底から自分らしい状態を作り、幸せに生きるメソッド◆

「光曉和尚の愛と心のセラピー物語」

~私、自分らしく人生を生きます~

 

※はじめてこられた方は、

この物語の『登場人物』・『あらすじ』を 先にお読みいただければ幸いです。

 

 

§ 五臓六腑に沁みわたる

 

前回、和尚は瑞枝に「結局人は幸せになんかなれないじゃないですか!」と、瑞枝が心に思っていた疑問をぶつけられた。和尚はその言葉に、昔の自分を思い出すかのように瑞枝に話したのだった。

 

「瑞枝さん、その通りかもしれませんね。私も、昔あなたと一緒でそうでしたから」

和尚はそう言って、瑞枝が眉間に皺を寄せて険しい顔をするのを見ながら、話しを続けた。

 

「私も昔、あなたと同じ20代後半の年齢の頃に、幸せってなにかわからなくて、『何のために人は生きているのだろう』と試行錯誤した時期がありました。私はそのとき毎日不安の塊で、その不安から逃れる一心でその手の本を読み漁りました。

今考えると、そのとき、そんな本を読むことが、唯一自分が生きていると感じられたのかもしれませんね。

 

そのときに行き着いた一つの答えというのか、その言葉はこのようなものでした。

『人は幸せになるために生まれてきた』

 

そのときこう思ったのです。『人生、幸せを追い続けることが生きることなんだ』と。

そして、さらにこう思ったのです。『これからの長い人生、苦行なんだ』と。

 

そんなときに、ある1冊の本を読んでいたことがきっかけで、セラピースタイルの心理学と出会いました。そこで、様々な心に響く考え方を知って行き、自分の今までの価値観が変わっていき、瑞枝さんも体験したように、自分自身の過去の記憶との和解という『ゆるし』をしていくことで、随分と自分が生きることが楽になりました。

 

瑞枝さんは、まだ自分が変わったとか、なにか自分に変化が起こったことがわからないと思っていると思いますが、確実に私とはじめて会ったときよりも、いい感じに変わって来ています。私はそれを実感しています。

 

その私が実感していることを、自分がわからないので余計に私の言葉ももどかしく信憑性を疑いたくなるところだと思いますが、私もそうでしたが、人は私の変化がわかるのに自分にはまったくピンとこないんですよね。

 

幸せの話は最後にしますが、今、瑞枝さんの心のなかでなにが起こっているのか、お話しておいた方がいいみたいですね」

 

瑞枝は、その言葉に大きく頷いた。

 

「今、瑞枝さんの中に、私と会うまでに持っていた自分の考え方・価値観があったところに、私がたくさん話たり、瑞枝さんとの体験実習をしていくなかで、新しい考え方・価値観が入ってきました。

でも、その考え方・価値観は思考という頭の中にあって、それが心に下りていき思考と心が一致するまでには、時間が掛っているのです。

 

それは、極端な例ですがわかりやすくするために、こんな感じです。

 

瑞枝さんがある国の人と大恋愛の末、その国に嫁いだとしましょう。そうすると、日本の習慣や価値観では考えられないことばかりで、でも、その国ではそれが当たり前で、しかもみんな生き生きと楽しそうに生きているのです。

 

そんな彼らを見た瑞枝さんは、みんなに聞くんです。『みんな幸せなんですか』と。するとみんなが『幸せだよ。ミズエは幸せじゃないのか?』って。『えっ、これもないし、あれもないし、こんなに不便だし、こんな生活を毎日していてどこに幸せを感じられるか理解できない』と思うのです。

 

それと同じで、その国の考え方・価値観を体で理解するまで、彼らが言う幸せ感を理解するまでには時間が掛るのです。

 

今、瑞枝さんの中でも極端な例でしたが、同じようなことが起こっているのです。日本の考え方・価値観からものごとを見ているから、比べているから戸惑うばかりなのです。

 

瑞枝さんも、今まで生きてきた考え方・価値観からものごとを見ているから、そこから比べてものごとを見ているから、新しい価値観でものごとを見ようとすると、なかなか頭に心に馴染んでいかないので、とても違和感を覚えて落ち着かない感じがするし、不安を感じたような状態になるのです。

 

心のメカニズムからすると、今までの考え方・価値観と新しい考え方・価値観とが上手く一つになるように意識が統合されていっている状態です。つまり、自分がより生きやすい意識の状態を創っている感じなのです。

 

瑞枝さん、それでつらいことに、その統合が完了した時期は、誰にもわからないのです。だから、その統合の完了を経験した人に聞いて返ってくる答えは、『そのうちにわかるよ』と、言われたりするわけです。

 

それをわかる方法があるとすれば、それは『気づき』です。

 

自分で『あっそっか』とか、あと感動して気づくことが自分の中で理解できた瞬間です。もっとわかりやすく言えば、瑞枝さんビール好きでしたよね。最初の一口飲んだ時に、『五臓六腑に沁みわたる』と、心の底から感じたことがありますよね。あの感覚ですね。

だから『腑に落ちた』という言葉もこの六腑の腑なのです。ちょっと強引でしたね」 そう言って和尚は笑った。

 

瑞枝もわかったような、わかっていないような感じになりながらも、最初のビールの一口のあの感じを思い出して、言いたいことがわかる気がした自分がなにか悔しかった。

 

「瑞枝さん、だからその『気づき』をたくさん感じられる意識のスペースを広げるためにも、『ありがとう』の実習をしてもらっているわけなんですがね。

 

それで、幸せの話しなのですが、『ありがとう』の実習は、その幸せを作る実習でもあるんですよ。実際に瑞枝さんにもその『ありがとう』の実習をやってもらっていますが、どうやら、そこに『結局人は幸せになれない』答えのようなものがありそうですね」

 

和尚は、瑞枝が『ありがとう』の実習をしていたときの感覚を思い出して、そこに意識が集中していく時間を作るために、次に言う言葉を待ったのだった。

 

つづく

次回明日10月23日(水)は、『ありがとう』の実習が幸せを作る?

メソッド実践編:「感謝が幸せ、幸せが感謝」をお話します。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。 心より感謝いたします☆

※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。

 

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