メソッド実践編:「こんな自分はもうたくさん」
◆心の底から自分らしく生きるメソッド◆
「光曉和尚の愛と心のセラピー物語」
~私、自分らしく人生を生きます~
※はじめてこられた方は、
この物語の『登場人物』・『あらすじ』を 先にお読みいただければ幸いです。
§ こんな自分はもうたくさん
前回、瑞枝だけがひよこちゃんを見つけられず、ダメな自分を責めるようにどんどん気持ちに余裕がなくなっていき、瑞枝は居たたまれなくなって外に出ていき、小走りで境内を横切っていくのを和尚は窓から見ていた。
和尚は、この流れを感じてこの場は誠に任せようと思ったのだった。
瑞枝が部屋を出ていき、玄関を慌ただしく開ける音と閉める音で、部屋にいる有里と誠もその音に異変を感じて、それが瑞枝であることに気づいたようだった。
「和尚さん、私見てきます」
「有里さん、ありがとう。少し考える時間が必要だから、少ししたら、そうですね、ここはあえて同性である有里さんよりも、誠くんに行ってもらった方がいいかもしれませんね」
そう言って和尚は、誠に瑞枝を迎えに行ってもらうようにお願いしたのだった。
和尚はこのとき、瑞枝が同性の有里に劣等感を持ち、しかも迎えに行って有里のよかれと思った気遣いが逆に瑞枝にプレッシャーとなると思い、ここは中立的な性格の誠の方がいいと思って誠にお願いした。
しばらくして誠は、瑞枝が持ってきたペットボトルを手に取ると、誠らしい気遣いを見せて部屋を出ていき、そして境内を横切ってお堂の裏へと消えていったのだった。
瑞枝は、自分に腹を立てもう自分のこの性格が嫌で嫌でたまらなかった。
『なにをやっても上手くいかない自分。いつもマイナスなことばかり考えてしまう自分。こんな自分が嫌で変わりたいのに結局変われない自分。私は幸せになれない運命なんだと思う自分。もう考えれば考えるほど本当に嫌になる自分。こんなときに泣けたらいいのに泣けない自分』
瑞枝は、こんな自分とこれからも一生付き合っていかなければならないと思うと、めいってきて気持ちが凹んだ。そして、瑞枝は情けない自分を通り越して、自分を抹殺してしまいたい気持ちになり、生きていることにさえ無意味な感じになっていた。
瑞枝は無造作に置いてある石の上に座り、前かがみになって一点をボーっと見つめていた。
やがて瑞枝は、和尚にモニターになることは無理だと言って、ここから早く立ち去りたいと思い、ふと顔を上げた。すると、いつの間にここに来たのか、誠が立っていることに気づいて瑞枝は驚いた。
瑞枝は誠と目が合い、誠に戻るように言われると思い身構えようとしたら、誠は急に地面にしゃがみ込むとそのまま草の上に大の字になって寝転がった。
瑞枝はこの男が取った行動に全く意味が分らず、誠を見た。
「はー、なんのために俺は生きてるんやろう」
『いきなりなにいってるのこの男、意味わからん』と、瑞枝は思った。
そして『前向きで、いろんなこと知ってそうで、私よりずっと幸せそうに生きてるのに、自分らしく生きたいとか言ってたのに、この男なに言ってるの』
「瑞枝ちゃんは、なんのために生きてるん?」
『えっ、質問してくる。しかもなんのために生きてるって?あほ(バカ)じゃないこの男』
「瑞枝ちゃんはなんのために生きてるん?」と言って、誠は上半身を起こした。
『答えなあかんの?そんなん自分で考え。私に聞くな』
また誠は、「はー」と言って寝転がった。
『なにこの男。なにがしたいの。質問しといてまた寝る』
「誠さんは、なんで生きてるんですか」
『えっ、なに私この男に聞いてるんやろう』
「わからんから聞いてるねん」
『はあ!なにこの男、わからんから聞いてるって、私にわかるわけないやん』
「さあ、生きてるから生きてるって感じですかね」
「瑞枝ちゃん、難しいこというな」
『聞くから適当に答えただけやのに』
「生きてるから生きてるか。なんか奥深いなー」
『なにが奥深いの。適当に言っただけやのに』
「ということは、人間生きないとあかんということか・・・」
「そうかもしれませんね」
「あっ、今適当にいったやろう」
『はあ、なにこの男、めんどくさ。適当に決まってるやん』
「そんなことないですよ。そう思ったから言ったんで・・・」
「そうなんや。それやのに、さっき死にたなったんや」
『えー、なに言ってるのこの男。キモーというより怖』
「なんでそう思ったんですか」
「勘。ただなんとなく」
『勘でいうな。でも当たってるけど、なんなんこの男』
「勘ですか。そんなこと思ってませんよ」
「そっか、俺やったら死にたなってんけど、瑞枝ちゃんは強いな」
「強くないですよ。私も死にたいですよ」
「ほらやっぱり死にたなってたんや」
『えっ、引っかけ!なにが言いたいのこの男は』
「死にたいというより、生きている意味がわからないって思ってたんです」
「生きている意味」と言って誠は上半身を起こすと、「生きてる意味、決まってるやん『幸せになること』やん」
『なに言ってるのこの男。幸せになれないからしんどいのに』
「それがわからないからしんどいんじゃないですか」
「そっか。そやな」そう言って誠は立ち上がって背中の土埃を払うと、
「あーなんかいいもんやな。草の上に寝転がるのも。瑞枝ちゃんもしてみる。気持ちいいで」
「私はいいです」
「そう」と言うと、誠は向きを変えて戻って行こうとした。
『はあー、なにこの男、一体なにがしたいの、なにしに来たん』
すると、誠は振り向いて
「幸せになりたいからここへ来たんやな。まだはじまって2回目やで。瑞枝ちゃんはいいよな。和尚さんに気づかってもらって。俺なんかついでみたいな扱いやのに。それだけで幸せやな、瑞枝ちゃんは」
そう言って誠は戻って行った。
『えっ、なんなんこの男。それにそれ、私のペットボトルちゃうの。私のために持ってきてくれたんと違うの?気が利くのか利かないのかわけわからんこの男。ペットボトル見たら急に喉が渇いてきたやんか、もう!なんかわからんけど腹が立つ』
そう思うと、瑞枝は取りあえず喉が渇いたので、みんなのいる部屋に戻ることにした。
瑞枝が部屋に戻ると、
「もう、瑞枝ちゃん、戻ってこおへん(こない)と思ったやん」そういって有里は瑞枝に抱きついた。
瑞枝は意外な有里の行動に戸惑っていると、涙目で見つめていた有里が、
「もうひよこちゃんなんか、ただの頭の体操やねんからあんなんせんでもいいねんで」
「いや、あれはなにがなんでも見つけて帰ります」
瑞枝は、有里のその振る舞いと言葉にイラッとして、なにか白けた気持ちになっていったのだった。
つづく
次回明日11月1日(金)は、瑞枝の隠し続けるマイナス思考、
メソッド実践編:「もう隠せない自分の心」をお話します。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。 心より感謝いたします☆
※この物語は、実話にもとづいたフィクションであり、登場する人物など、実在のものとはいっさい関係がありません。
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